<高校野球・秋季東京大会:国士舘3-1早実>◇26日◇決勝◇神宮第2

 国士舘が6年ぶり5回目の優勝を果たし、来春のセンバツ出場を確実にした。1-1の6回、連打で1死二、三塁の好機から、相手の捕逸と犠飛で2点を勝ち越した。右腕エースの荷川取亮汰(にかわどり・りょうた=2年)は早実打線をソロ本塁打による1点に抑え完投勝ちした。

 荷川取の熱投が、神宮第2にあふれた早実応援団を黙らせた。180センチ69キロのスラリとした体形から、フォーク、シンカー、スライダーを操る。本格派で通した夏以降、右腕を下げ、勝てる投球に一新した。三振は4つだが、4安打1失点で打たせて取った。「甲子園は夢。実現できてうれしい」と笑った。

 最近では珍しい5人兄弟の長男。一番下は2歳の双子だ。頼れる兄ちゃんが大一番で、公式戦初完投。簑野豪監督(31)は「出来過ぎ。4、5点は覚悟した。こんなピッチングができるとは夢にも思わなかった」と驚いた。準決勝から帝京、早実と大物を撃破し、ついに6年ぶりの頂点に立った。

 日々の練習は国士舘大で行う。柔道北京五輪金メダリストの石井慧とは構内で良くすれ違うという。「オーラが違います。同じ国士舘ですから、野球だって魅せたかった」。先輩の闘魂も、しっかりと甲子園に持ち込むつもりだ。