センバツ史上初の早慶そろい踏みだ。第81回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園)の出場校32校が23日、発表され、早実(東京)と慶応(神奈川)が選出された。夏は56年に1度同時出場があるが、甲子園で「早慶戦」が実現すれば史上初になる。当落線上だった早実は早大・斎藤佑樹投手(2年)を擁した06年以来3年ぶり19度目の出場。

 早実ナインが雄たけびをあげた。「待ってろ慶応、行くぞ甲子園!」。国分寺市の校舎中庭、渡辺重範校長(65)から出場決定の報を聞いた直後だった。大先輩王貞治ソフトバンク会長の記念レリーフの前、同会長からお祝い電話が入る中で大声を張り上げた。中野弘也主将(2年)がナインの思いを代弁した。「ライバルのライバル。練習試合で負けてるし、負けたくない気持ちです」。

 外野手兼投手の鈴木健介(1年)はだれよりライバル心が強いかもしれない。「兄がいたところなんで、負けたくない。決勝戦で慶応とやりたいです」と話した。裕司さんは昨年、慶応の捕手として春夏連続甲子園に出場した。リトル、シニアを通じて兄と同じコースを歩んだ。「全く一緒だったんで、高校からは新しい道を行こうと思ったんです」。もっとも兄からアドバイスも受けている。「春(甲子園を)経験していれば、夏につながる。風が強いんで、痛い目に遭うとも言われました」。

 鈴木を含め、1年生が5人もヒトケタの背番号を背負う。和泉実監督(47)は「若いチームなんで伸びしろはある。全国のトップレベルと対戦することで、いい素材が目覚めてくれることを期待している」と評した。斎藤佑樹投手(早大2年)を擁し全国制覇したのが06年夏。今年の選手は、その姿にあこがれ入部している。中野主将が「斎藤さんのように全国で結果を出したい」と、再びナインの思いを代弁した。【米谷輝昭】