<高校野球・春季岩手県大会:一関学院9-0北上翔南>◇21日◇1回戦◇大槌ふれあい運動公園

 頼もしき秘密兵器「大将」が、打倒花巻東の切り札だ!

 一関学院が7回コールドの9-0で北上翔南を下し初戦突破。昨年1月に入部した転校生左腕、飯塚将大(3年)が2安打7三振で0封し、堂々の新天地デビューを飾った。。

 期待の新戦力がベールを脱いだ。最速138キロの直球に大きく割れるカーブを織り交ぜ、飯塚が次々とアウトを積み重ねる。5回には先制の犠飛、6回には右越え2ランとバットでも大暴れ。転校後初の公式戦で白星&高校初アーチと、ド派手なデビューを飾った。

 「人生で一番うれしい日です」。目を細めて飯塚は言った。生まれ育った地元の強豪・銚子商(千葉)に入学したが、精神的な自立を目指して1年時に退学。昨年1月1日付で一関学院に入学した。規定による1年間の公式戦出場禁止も、今年1月で解禁。待ちに待った初陣が、人生最良の日になった。

 恩返しの1勝にもなった。飯塚の父達衛さんは銚子商OBで、3年時の77年センバツに4番として出場した。飯塚が実家を離れた今でも納豆や卵を差し入れてくれ、チームが今春センバツ出場を逃した際も「夏に向けて頑張ればいい。おれも夏は出られなかった」と励ましてくれた。

 名前の将大(まさひろ)は楽天田中と同名だが、チームメートからは「大将」の愛称で親しまれている。「甲子園に出て父親を喜ばせたい。そのためにも、まずは花巻東を倒したい」と飯塚。エース飯田翔、昨春センバツで登板した菊地翔太、阿部航の3年生右腕トリオに続く新兵器に、沼田尚志監督(49)も「夏に向けて、うれしい収穫ですね」と笑顔を見せた。仲間と一緒に戦える喜びをかみしめながら、飯塚が「大将」のような仁王立ちで、戦いに挑む。【由本裕貴】