<高校野球・春季宮城県大会:仙台育英8-1利府>◇25日◇準決勝◇クリネックススタジアム宮城

 仙台育英が、今春センバツ4強の利府に8-1で大勝しリベンジを果たした。エース穂積優輝(3年)を温存し、左腕木村謙吾(2年)が7安打1失点で公式戦初完投。昨秋宮城県大会決勝で8-9と惜敗した借りを返した。

 「息の根を止めてやろうと思ってた」。木村の過激な言葉は、利府への反骨心からだった。初回のアウトをすべて三振で取るなど計9奪三振。6四死球と制球に苦しみ160球を投じたが「意外といけるもんですね」と、初完投に不敵な笑みを浮かべた。

 全国で4強入りされたことより、苦杯をなめたことが悔しかった。昨秋県決勝で穂積-木村の継投も18安打を浴び、利府に県初優勝を許した。その悔しさを木村はこの日、爆発させた。2回でエース塚本を下げた利府に対し「もう1回出てこい!」とベンチから叫び、試合後も「育英をなめてる」と止まらなかった。

 そんな木村も3月まで、ふさぎ込んでいた。最速137キロ左腕はフォームが固まらず、春先まで130キロも出なかった。「投手を辞めたい」。それを耳にした高橋知己捕手(3年)から「終わってるね」と突き放され奮起。スタミナアップとフォーム固めのために、日々の投げ込みを80球から150球に増やした。

 利府の印象を「(センバツ4強で)いい気になってる」と木村。その勢いは、26日の決勝で戦う宿命のライバル東北にも向けられた。「夏に向け1点もやらない」。不敵な笑みを浮かべながらの発言は、最後まで衰えなかった。【三須一紀】