<全国高校野球選手権:新潟明訓5-3京都外大西>◇13日◇2回戦

 水島新司さん(61)の野球漫画「ドカベン」のモデル校、新潟明訓が13安打を放ち、強豪京都外大西を破った。

 序盤から、流れをつかんだのは新潟明訓だった。1回1死二塁。京都外大西の左腕・佐藤から、3番田村昌大主将(3年)の中越え二塁打で先制。2回、3回にも着実に1点を追加した。打席に立った10人中9人が安打、5人が打点を挙げた。昨夏甲子園準Vの新潟代表・日本文理をほうふつとさせる、切れ目のない打線。田村は「うちも強打のチームですから」と高らかに話した。

 新潟明訓は、その日本文理を県決勝で破った。佐藤和也監督(53)は「文理は文理。うちはうちです」と言うが、選手たちは同郷チームの躍進を励みにしてきた。新チームが始動した昨秋は、寮で甲子園の決勝、中京大中京-日本文理のビデオを何度も見た。特に、9回2死からの反撃シーンを繰り返し再生。「次の球はファウルになるとか、みんな覚えてる。文理にできるならうちにもできる」(田村)と、聖地でプレーする自分たちの姿を重ねて励みにした。

 ベンチ入りメンバーは全員県内の中学出身で、郷土愛も強い。スタンドの応援団には、新潟が舞台の大河ドラマ「天地人」のテーマ曲をリクエスト。移動のバスでも流している。今夏、同校がモデルの漫画「ドカベン」の作者・水島新司さんには「山田太郎、岩鬼、殿馬、里中」の主要キャラ4人のイラストを描いてもらった。大阪の宿舎には、新潟のJAから、米300キロが送られ、地元からも愛されている。

 深い雪が積もる冬場に室内練習場で打撃練習を重ね、春は今大会も出場している前橋商や本庄一にも勝てるチームになった。佐藤監督は「新潟のレベルは低くないと、常々言っています」。明訓が、今年も新潟の快進撃を見せる。【鎌田良美】