高校野球は8日、対外試合が一斉に解禁された。センバツ(23日開幕)出場の静清(静岡)は焼津水産と対戦し、エース野村亮介(2年)がど派手に「開幕戦」を飾った。4番打者として2打席連続3点本塁打を放てば、マウンドでは3回をパーフェクトに抑えた。「エースで4番」の爆発で、12-0と圧勝した。

 憎らしいほど無欲の2発だった。初回1死一、二塁で打席に入った野村は、2球目を一振り。高めの直球をとらえると、打球は風に乗った。見送る相手右翼手を見て、うっすら笑みを浮かべながら生還。続く2回には、2死二、三塁の場面で初球をたたき今度は左翼越え。2打席連続の3点本塁打を放った野村本人が「正直ホームランを打てると思っていなかった…。運をこの試合で使い切った感じです」と一番驚いていた。

 打の勢いは投げても衰えない。最速136キロの直球を見せ球に、最も遅い時で112キロのチェンジアップでバットに空を切らせた。緩急で相手を翻弄(ほんろう)し、3回を9打者6奪三振で終えるパーフェクト投球。32球を振り返った野村は「ちょっと高めに浮くことが多かった。強いチームはそこを狙ってくるから低めを意識してやっていきたい」と、好投の中から課題を見つけ出した。

 エースで4番。この日から解禁された対外試合で、投打にフル稼働した。「本当はあんまり打撃で負担をかけたくないんだけど」と以前から話していた光岡孝監督(32)も「2本目の本塁打は(配球を)読んで、しっかりと仕留めていた」と認めた。

 試合は野村が降板以降も、望月建吾(1年)ら後続の投手陣が抑え、被安打わずか2。12-0で完勝した。明日10日の島田樟成戦を含めて本番まで残り7試合。野村を中心に、勢いを増していく。【栗田成芳】