選抜高校野球(23日開幕)に出場する静清が17日、「完全甲子園モード」で藤枝明誠と練習試合を行った。同校グラウンドで吹き荒れた強風を甲子園名物浜風に見立て対策を練ると、スタンドでは応援団が盛り上げた。試合は野村亮介投手(3年)が先発し、5回10三振を奪う快投。6回からは一塁に入るなど本番を想定した起用で、4-3で勝利を収めた。チームは地元での実戦を終え、明日19日に中京大中京と練習試合を行う。

 外野から強風が吹き荒れる中、プレーボールのコールがされた。1回表の守り。2番打者の放ったファウルボールを石走直紀内野手(3年)が追い掛けた。風に乗った打球を前掛かりになりながらなんとか捕球。試合前には甲子園で審判経験のある冨岡伸行主審(45)も「浜風でもこんなに強くない」というほどの強風だ。光岡孝監督(32)も「きっちり見て捕っていた。いい練習になった」と話した。

 甲子園モードはスタンドからも演出された。新2年生の生徒たちと、結成された応援団が駆け付けた。チャンスでは静清伝統の「静清サンバ」を踊って盛り上げた。声援に応えるように、先発した野村も奮起。野村は「風が強くてバランスが悪かったから力を入れず、スピードは抑えて制球を心掛けた」と、2ストライクに追い込むとフォークボールを決め球にして、5回10三振を奪いマウンドを降りた。

 6回以降は守備で一塁に入り、打線に残った。4番打者として打撃の中心でもあるだけに、昨秋の公式戦でもあった起用法だが、同監督は「野村が投げられなくなったことも想定して、実戦さながらの試合だった」と振り返った。試合前のじゃんけんでは、加藤翔主将(3年)に後攻を選択するように指示を出す徹底ぶり。「守備からリズムをつくるため。それに接戦になったら後攻が有利だから」と明かした。

 地元最終戦を終え、チームは明日19日に愛知の強豪中京大中京と敵地で対戦する。「強いチームを抑えられれば自信になる」と野村。手応えを胸に、西へと向かう。【栗田成芳】