<センバツ高校野球:鹿児島実7-2城南>◇30日◇2回戦

 鹿児島実(鹿児島)は、野田昇吾投手(3年)が13奪三振で完投し、優勝した96年以来のベスト8入り。準々決勝は31日に九州国際大付(福岡)-北海(北海道)、加古川北(兵庫)-日大三(東京)、4月1日に智弁和歌山(和歌山)-履正社(大阪)、鹿児島実-東海大相模(神奈川)で行われる。

 鹿児島実のエース野田が167センチ、64キロの小さな体をいっぱいに使って2失点で完投した。6安打で13奪三振。だが、内容は数字ほど楽ではなかった。1回以外は毎回走者を背負っての投球で「ストレートが定まらなくて今日はきつかったです。終盤は腕も振れなくなって、修正できなかった」と振り返った。「よく我慢して投げました」と、宮下正一監督(38)はエースの成長を感じていた。

 左腕誕生の過程は、昨年春夏連覇を果たし、興南から中大に進学した島袋洋奨投手と同じだ。3歳のとき、投手経験者の父伸一さん(51)から「野球をやるなら左が有利」と右利きから左利きに矯正された。与えられたのは左用のグラブ。物心つく前から左で投げる練習を繰り返した。父も2人の兄も右投げ。野田も箸や鉛筆、他の球技はすべて右で「なんで野球だけ左なの」と不思議に思ったことがある。島袋も右利きだが、父親に左投げに矯正されたのがスタート。野田も「右利きサウスポー」で同じ道を目指す。準々決勝は強打の東海大相模が相手。「スライダーで三振取れるのは自信になりました。次も頑張るだけ」と意気込んだ。【前田泰子】