<センバツ高校野球:日大三13-2加古川北>◇3月31日◇準々決勝

 昨年準優勝の日大三(東京)が、加古川北(兵庫)に大勝し、2年連続で4強に進出した。3番畔上(あぜがみ)翔主将(3年)が、大会史上4人目の1試合最多6安打を放つなど、先発全員、毎回の22安打の猛攻を見せた。春夏通じて初のベスト4に進出した九州国際大付(福岡)と2日の準決勝で対戦する。

 畔上のバットが快音を残し続けた。大会史上4人目の1試合6安打。「記録の意識はありませんでした。打席に無心で入れた。信じられない」と、笑顔をのぞかせた。

 1打席目、先制の好機を広げる中前打を放つ。チームで徹底した「投手の足元に打ち返すこと」がお手本のように出来た。それが「うれしかった」。高校通算25本塁打を誇る強打者は、その後も長打を狙わない。「足元へ」の意識でセンター中心に長短打を放った。

 準優勝した昨春は主に7番として全試合スタメンで15打数6安打4打点の成績を残した。「三高の野球が自分を成長させてくれた」と話す。小5のころ、神宮球場で軽々と本塁打を放つ選手を見て、日大三のユニホームにあこがれた。願いがかなって入学したが、少ないときでも1日300スイング以上振り込む練習に度肝を抜かれた。入学当初は「手が痛くて、痛くて」と振り返る。

 昨秋に主将となった。小倉全由(まさよし)監督(53)は「朝も一番早く練習にやってくるんじゃないでしょうか。体で示すキャプテン。あいつが一番練習をやっている」と評価する。本来の外野に加え一塁手、控え投手としてノックは3つのポジションで懸命に受ける。後輩の指導も熱心で、2回戦で決勝打を放った7番金子は「畔上さんに内角の打ち方を教わった」という。そんな姿に部員45人の信頼は集まる。

 「自分がまずしっかりやらないと」と畔上。リーダーとしての心構えは、大好きな阪神金本から学んだ。04年、左手首を骨折しながらも安打を放った姿に感銘を受けた。金本の著書「覚悟のすすめ」を読み「痛いと言ったらケガになる、というような言葉が印象にある」という。だから、練習が厳しくても決して弱音は吐かない。

 そんな畔上に引っ張られるように、チームは1試合最多安打の大会タイにあと2と迫る22安打。畔上は今大会9安打で、昨年、先輩の山崎福也(明大1年)らが記録した大会通算最多記録の13安打も視野に入ってきた。8打席連続安打の大会記録もかかる準決勝へ「記録を意識せず、自分の打撃をすることを意識したい」と、浮かれた表情はなかった。【清水智彦】