<センバツ高校野球:九州国際大付5-4北海>◇3月31日◇準々決勝

 九州国際大付(福岡)は北海(北海道)に競り勝ち、春夏通じて初のベスト4。4番高城俊人(たかじょう・しゅうと)主将(3年)が5打数5安打で引っ張った。

 強打の九州国際大付を頼もしい主将、4番高城が引っ張った。1回2死二塁、右前に先制の適時打を放った。先制点をたたき出すのは初戦から3試合連続。勝負強い主砲は「しっかり引きつけてうまく打てたと思います」と納得の表情を浮かべた。7回2死二塁の第4打席では、捕手の前に転がったゴロにも全力疾走でセーフ。どんな状況でも力を抜かない姿勢で5打数5安打2打点。1回戦から3試合で1本塁打を含む13打数9安打5打点と大暴れだ。

 「今日は三好を助けたかった。いつも助けられているので、今日は自分が助けようと思っていました」。打撃だけではない。捕手として、疲れから制球の定まらなかったエース三好を必死にリードした。7回にはファウルチップを首の付近に受けて「息ができなくなった」。それでも、最後まで攻守にわたってチームを引っ張った。若生正広監督(60)は「すばらしい主将」と絶賛した。

 この試合に懸けていた。「先生はセンバツ8強が最高で4強はないんだ」。前日のミーティングで若生監督はナインに話した。東北の監督としてダルビッシュをエースに擁した04年春は準々決勝で済美(愛媛)に敗れた。6-2とリードで迎えた最終回2死からサヨナラ3ランを打たれて逆転負けしていた。

 「あれがずっと頭にあった。私にとって壁でした」。そう振り返った若生監督の思いは選手に伝わっていた。前日の練習では、体の不自由な同監督が主力ら10人にトス打撃のボールを上げて指導した。自らトスを上げて指導するのは、本当に大事な試合の前だけ。「踏み込んで真上からボールをたたけ」。試合中はベンチで立って選手に指示を出し続けた。

 福岡県勢として69年の博多工以来の4強入り。「壁を乗り越えることができました。選手は一生懸命やってくれる。それがうれしいね」と、若生監督は4強をプレゼントしてくれた孝行息子たちに目を細めた。通算13安打の大会記録も見えてきた高城は「これからもつなぐ意識でいきます」。優勝まで強力打線を引っ張っていく。【前田泰子】