<高校野球春季関東大会:日大三11-4花咲徳栄>◇16日◇準々決勝◇市原市臨海球場

 センバツ4強の日大三(東京)・横尾俊建(としたけ)内野手(3年)が5打数5安打4打点4得点の大当たりで、花咲徳栄(埼玉)に快勝した。豪快な2発も飛び出し、通算本塁打は50本に到達。三塁打が出ずサイクル達成はならなかったが、センバツ以降低迷していた打撃に復活の兆しが見えた。習志野(千葉)、常総学院(茨城)、甲府工(山梨)も準決勝に進出した。

 悩める主砲のバットに、一筋の光が差した。日大三・横尾は2回に高校通算49号の左越えソロを放つと、4回には3点追加の口火となる中前打。5回に再び左翼へ特大の50号2ランアーチを描き、7回と9回にも二塁打した。三塁打が出ればサイクルの5打数5安打4打点。大活躍にも「夢中でなんも覚えてません」と笑顔はない。必死だった。

 2年生ながら4番を任された昨年のセンバツでは、大会記録にあと2本と迫る11安打で準優勝に貢献。だが期待された今春はなかなか1本が出ず、準決勝は無安打で甲子園を去った。「打撃が分からない」と出口の見えない迷路に入った。

 幼少期から、父昭建さんに「頭を使え。なぜ打てないか考えろ」と口を酸っぱくして言われてきた。父は福島県の高校で3番三塁だった野球の先輩。センバツ後、横尾は何度も自分の打撃フォームをスロー再生した。「左肩が入りすぎだ」。解決の糸口を見つけた。

 鏡の前で素振りを繰り返し、試行錯誤を続けてようやく結果を出した。「打てなくても4番で使ってもらった。この打ち方で、夏まで底上げしていきます」。強打の日大三の中核で、これからも安打し続けるのみだ。【鎌田良美】

 ◆横尾俊建(よこお・としたけ)1993年(平5)5月27日、東京・多摩市生まれ。小3から武蔵府中リトルで野球を始める。中学時代は中本牧シニアから相模ホワイトボーイズに移籍し、捕手。日大三で内野手に転向し、ベンチ入りした1年秋からレギュラー。2年のセンバツでは4番に座り、11安打で準優勝に貢献。今春のセンバツも4強まで勝ち進んだ。家族は両親、兄、姉、妹。176センチ、82キロ。右投げ右打ち。