誰が呼んだか「下町のダル」。足立学園(東東京)の吉本祥二(3年)は、その“通り名”に恥じない成長で赤丸急上昇中の大型右腕だ。

 「注目を感じるようになったのは、あの日からです」。転機は昨夏、東東京大会1回戦(対科学技術)。日本ハム・ダルビッシュと同じ背番号11を背負い、4回を無安打10奪三振に抑えた。187センチから投げ下ろす直球は最速149キロを誇る。本家を手本にした伸びやかなフォームに、日米14球団の目もくぎ付けだ。

 恵まれた練習環境ではない。東大にも合格者を出す進学校。土曜も4時間授業がある。足立区の学校にグラウンドはなく、毎日高速バスに20分揺られて埼玉・三郷市の球場へ。土日はここすら使えないが「他校の練習を見たことがないし、自分にとっては普通」。泣き言は言わず、短時間に集中して鍛錬を積んできた。

 秋春はともに都大会初戦敗退。「夏は責任を感じますね」。今度は背番号1の吉本が、神宮のフラッシュを独占する。【鎌田良美】