<高校野球福岡大会:西日本短大付6-2明善>◇10日◇1回戦

 2年連続の甲子園へ「完投王子」が完投発進した。昨夏の代表校・西日本短大付が明善を下し、初戦を突破した。

 昨夏の県大会と甲子園、9試合すべて完投したエース森達也(3年)が116球を投げて2失点完投。腰痛で投げられない苦しみを味わった左腕が、最後の夏に間に合わせた。3回に「簡単にいきすぎた」と3連打を浴び、2点を失ったが、その後は不運な1安打を許しただけと、完璧に投げきった。

 夢の甲子園の後は、地獄を味わった。森を襲った腰痛。医者によると「ヘルニアになりかけ」。西村慎太郎監督(40)は「練習しすぎ」という。だれよりも走り込み、1人でマウンドを守りきった疲れが一気に押し寄せた。

 「よくなる気配がないしあせりました」。全く投げられない辛い日々は、年をまたいだ。しかし、ようやく回復の兆しが見え、森はフォームのプチ改造に着手した。「腰の横回転を縦回転にしました」。腰に負担をかけないためなのだが、横滑りのスライダーが縦に曲がる副産物も産んだ。

 昨夏は2年生エース。今年は最後の夏となる。「昨年は先輩に任せきり。今年は気持ちの入り方が違います」。甲子園は2試合目の3回戦で新潟明訓に0-1と惜敗した。「上には上がいると、昨年は学んだ」。その答えを今年、甲子園に求めにいく。【実藤健一】