<高校野球福島大会:学法福島3-0磐城桜が丘>◇16日◇2回戦

 第2シードの学法福島が、磐城桜が丘を下して初戦突破。特殊なサングラスをかけた背番号18の谷地哉耶(さいや)投手が、1安打完封と好投した。

 汗で曇るレンズをふきながら、学法福島の谷地が軽快に118球を投げ終えた。許した安打は6回の1本だけ。途中、右ふくらはぎがつるアクシデントもあったが「楽しく投げられた」と、試合後はサングラスを外し、“素顔”ではにかんだ。

 グラウンドでひときわ目立つ透明のサングラス。花粉症でもなければ、日光に弱いわけでもない。「防護用です」(谷地)。昨秋、オフの日にバドミントンのシャトルが右目を直撃。「その瞬間は真っ暗になった」ほどで、1カ月入院した。光は戻ったが、右目の視力は1・5から0・1に。左目(1・5)とのズレでキャッチボールもままならず、持ち味の制球力も低下した。「投手を辞めたいと思った」。どん底だった。医師からは「もう一度当たったら、失明するかもしれない」と宣告された。

 そんな中、愛用するスミス&ウェッソン社製のサングラスが救ってくれた。レンズの曲面が、打球の衝撃をにがす優れ物で「絶対に割れないし、直撃を避けてくれる」と谷地は力説。絶対安心の「相棒」を手に入れると、コントロールも復活した。最近はしっくりなじんでおり「つければ目立つ。レンズが曇って集中力が切れることもなくなったし、良い感じです」。チームの勢いも生みだし、次戦に向けても視界良好だ。【今井恵太】