<高校野球神奈川大会:横浜3-1東海大相模>◇23日◇5回戦

 横浜がセンバツ優勝の東海大相模を破った。先発の柳裕也投手(2年)が8回途中1失点と好投。1-1の6回には、勝ち越しの内野安打を放つなど投打で活躍した。

 横浜の柳が堂々とした投球で、猛打でセンバツを制した東海大相模を抑えた。7回1/3を6安打4奪三振で1失点。最速141キロの直球などボールを低めに集めて、4回以降は二塁を踏ませなかった。渡辺元智監督(66)はホッとしたような表情で「レフトに向かって強い風が吹いてたので低めに低めにと。制球がよかったですね」。1-1の6回裏2死三塁では内野安打を放ち、決勝点をたたき出した背番号10をたたえた。

 柳は中3の夏、シニアの日本代表に選ばれ、米国で開かれた少年野球全米選手権大会で優勝した。最も優れた投手に贈られる「サイ・ヤング賞」を受賞。遠く離れた宮崎から「憧れの強豪に」と熱望し、入学した。だが、同学年の左腕エース山内達也の存在もあってリリーフ中心の登板が続いた。春から先発の機会は増えたが背番号10。「今は背番号に関係なく、自分がエースだという気持ちで投げています」。3回戦の横浜商戦から中4日の先発で好投し、胸を張った。

 この日、今大会初めて宮崎から応援に訪れた母薫さん(41)は「とにかく頑張ってほしいと思ってました」と目頭を押さえた。柳は小6の時、父親を交通事故で亡くしている。「苦労をかけた母親の前で、活躍出来て良かった」としみじみ。愛用のグラブには、感謝の気持ちを込めたという「母への恩返し」という刺しゅうが入れてある。

 センバツ出場校同士の大一番を制して準々決勝進出。甲子園までは1日おきに、あと3校と戦いが続く。殊勲の右腕は「まずは1つずつ。神奈川で優勝を」と自信に満ちた表情だった。

 ◆柳裕也(やなぎ・ゆうや)1994年(平6)4月22日、宮崎県都城市生まれ。小3から野球を始め、大王小時代に志比田スポーツ少年団に所属し、小6で全国優勝。中学では都城シニアに所属した。直球の最速は6月上旬の神村学園(鹿児島)との練習試合で記録した141キロ。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップなど。家族は母、妹、祖母。180センチ、74キロ。右投げ右打ち。