<高校野球静岡大会:磐田東9-1静岡商>◇24日◇4回戦

 磐田東が永田大貴投手(3年)の活躍で静岡商を7回コールドで破った。2試合連続コールド勝ちの第2シード校を6回4安打1失点に抑え、打撃でも4安打3打点。昨秋のエース左腕が復活し、チームを10年ぶり2度目の準々決勝に導いた。

 マウンドには2回戦までとは別人の永田がいた。1回裏にいきなり3者連続三振とこれ以上ないスタートを切った。今夏初登板初先発だった17日の袋井商戦では、緊張もあり打者4人で1失点。1死だけで1度降板させられた。そこから中6日で一変した。

 春の県大会を棒に振った左肩痛はほぼ治ったものの、昨秋準優勝の原動力となった、181センチから投げ下ろす130キロ台後半の直球にはまだ遠い。この日も「130キロくらい」の感覚だった。それでも、永田にはキレと制球がある。ケガ以降、力を抜いて投げることを意識し取り戻した武器だ。「変化球でストライクが取れて、外のストレートを見せ球にしていたら、打者が引っかけてくれた」。打線好調の静岡商を打たせて取り、散発の4安打に封じ込んだ。1失点も味方外野手の返球ミスによるもの。山内克之監督(56)を「2回戦を見れば、何があるか分からない投手だけど、よく投げてくれた」と喜ばせた。

 打撃では、さらに予想外の活躍を見せた。2回の適時二塁打を皮切りに初の4安打。本人は「来たボールを打っただけ」とあっさりだったが、指揮官は「ベンチの盛り上がりが違った」と笑った。

 今日25日は今大会初の連戦で掛川西と戦う。これまでは阿部智弘投手(3年)と交代で先発しているが「明日も投げたい」と言った。復活したエースがチーム初の4強、さらにその上へ自身の腕でけん引する意欲を見せた。【石原正二郎】