<全国高校野球選手権:作新学院3-2唐津商>◇13日◇2回戦

 佐賀の「がばい豪腕」が2回戦で姿を消した。唐津商のエース北方悠誠(ゆうじょう)投手(3年)が作新学院(栃木)との対戦で今大会最速となる153キロをマーク。完投したが7安打3失点で敗れ、2回戦敗退に終わった。

 甲子園は大きく、楽しかった。1回1死一、三塁。唐津商のエース北方悠が空振り三振を奪った球は今大会最速の153キロを記録した。初戦の古川工戦で出した自己最速の152キロを1キロ上回った。

 1回から勝負どころで150キロ台の直球を投げ込んだ。初戦よりも伸びのある直球とキレのあるスライダー、カットボールで序盤は相手打者をほんろう。だが4回2死三塁で150キロの直球を捕手が捕逸した間に1失点。5回には先頭打者を死球で出すと、1死を取った後2連打で2失点。相手の走塁にもやられ、逆転を許した。「打たれた球は高めに浮いてしまった。ピンチでつめが甘かった。もっとスキのない投手になりたい」。涙はなかった。「自分の投球はできました。持てる力は出し切りました」。悔いもなかった。

 高校までは甲子園なんて考えたこともなかった。3番原田、8番伊藤、一塁コーチの大浦とは小2の時に「湊マリーンズ」で野球を始めてからずっと一緒にやってきた。四球で崩れそうになったら容赦なく厳しい言葉を浴びせ、ピンチになったときはマウンドで小さいときの話で笑わせてくれた。「あいつらと野球ができて本当に良かった」。

 佐賀大会で再試合を含む6試合で888球を投げ甲子園では2試合を完投。1180球で北方悠の最後の夏は終わった。「将来はプロになりたい。もっと走って、もっと食べてコントロールをつけます」。甲子園をわかせた豪腕はもっとすごい投手を目指す。【前田泰子】