<高校野球秋季北海道大会:女満別4-0函館工>◇3日◇1回戦◇札幌円山

 開幕戦で女満別の145キロ右腕、二階堂誠治投手(2年)が、被安打1の快投を演じた。函館工相手に8回まで無安打投球。9回無死から右前打を許し、ノーヒットノーランこそ逃したが、全道大会記録にあと1つに迫る17三振を奪い、完封した。1954年創部以来、58年目にして初の秋全道勝利をエースの三振ショーで飾った。旭川工は7-1で札幌龍谷学園を下し、2回戦にコマを進めた。

 オホーツクの快腕が、冷たい小雨が降るマウンドで寒さを吹き飛ばすような152球の熱投を見せた。二階堂が8回まで函館工の28打者に無安打。期待が膨らんだ9回、先頭打者に右前に運ばれ、大記録達成はならなかったが、それでこの日の投球が色あせることはなかった。

 「(無安打無得点の)記録は意識しませんでした。今日は力を抑えて、ていねいに投げました。自信がつきました」と、最速は145キロだが、力まないよう、意識的に140キロ前後に抑えた。1、2番の左打者にはうまく外角シュートを振らせ、右打者にはキレのいいスライダーを効果的に配した。積み重ねた三振は、4者連続1度、3者連続2度を含め毎回の17個を数えた。大会記録(延長戦を除く)までわずか1個。主将の平田悠人捕手も「キレが良くて今までで1番の内容」と絶賛だった。

 この夏の北北海道大会では準決勝の白樺学園戦に先発し4回途中、四球などで崩れ、無念の降板となった。投球の幅を広げるために夏休みに新たにシュートを覚えた。鈴木收監督(43)は「二階堂は力みがなく、コントロールも良かった」と成長を認めた。夏まではピンチに陥ると力に任せて投げ、傷口を広げることが多かった。昨秋の全道は白樺学園に、今春の全道でも旭川南に延長13回サヨナラ負け、悔しい経験を糧にした。

 今日4日の2回戦では3季連続甲子園を狙う北海と激突する。連投にはなるが「玉熊投手とやりたかった、楽しみ。自分が0点に抑えたい」と、勝利の余韻に浸るまもなく次の試合に気持ちを切り替えた。難敵ではあるが、多くの大空町民が期待する「オホーツクの夢」をつかみにいく。【中尾猛】

 ◆二階堂誠治(にかいどう・せいじ)1994年(平6)9月21日、美幌町生まれ。野球は美幌旭小2年から、旭ベースボールクラブ。美幌中では軟式、投手。中学の仲間と甲子園に行くため、地元女満別高に。1年春に背番号10でベンチ入り、1年秋から背番号1。兄の僚さん(女満別高3年)はこの夏まで野球部、遊撃手で主軸を打った。好きなプロ野球選手は日本ハム・ダルビッシュ有。176センチ、72キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄。