<高校野球秋季北海道大会:北照9-1北海>◇8日◇準決勝◇札幌円山

 秋の王座に向け、強力打線の北照と札幌一の対決が決まった。北照は18安打の猛攻で、3季連続甲子園を狙う北海を7回コールドで打ち砕いた。1番打者の吉田雄人中堅手(1年)が5打数5安打1打点の活躍で、2年ぶりの優勝に王手を懸けた。来春のセンバツ(12年3月21日開幕、甲子園)代表が確実視される優勝へ、秋は12年ぶりに決勝で雌雄を決する。

 北照が序盤で北海の夢をみじんにした。1回表、先頭打者の吉田が左前安打を放ち、1死二塁から佐藤星七主将が右翼線に引っ張り、適時二塁打であっさりと先制。ここで止まらないのが今年の北照打線だ。今春の甲子園8強の玉熊にさらに3安打を浴びせ、わずか16球でマウンドから降ろした。2回は2番手西村を4連打でKO。1、2回連続の5安打で5得点。ここで勝負あった。

 この日、トップバッターとして5打数5安打と打ちまくった吉田は「玉熊、西村投手も打てる気がしました。思い切って振り抜きました」。初めての対決は好投手と意識せず、真っ白な気持ちで臨んだ。先制適時打の佐藤も「次の小林を警戒してスライダーを使うはず、自分には直球勝負」と読んで打ち返した。

 9月下旬に和歌山遠征を行い、甲子園で春1度、夏2度の優勝を誇る智弁和歌山と練習試合を行い、0-7と敗れた。3安打完封されたが収穫はあった。河上敬也監督(52)は「強く振り抜くスイングが目に焼き付きました」と、高嶋仁監督(65)に練習法を聞いた。

 その答えが1人150本のマシン打ち。小樽に戻るとさっそく取り入れた。吉田は「打球が速くなっていくのが分かりました」。河上監督も「本数が多くなると散漫になるかと思っていたら逆、がーっと集中していった」。地区予選からのチーム打率は4割7分6厘、吉田は7割6分、脅威の数字を残した。

 秋は3年連続の決勝進出だが、昨年は北海に敗れた。今春の全道、夏の南大会は屈辱の初戦敗退。新チームは1日8時間練習から再スタートし、どん底からはい上がって、秋の頂上に手をかけた。「秋のチームは驚くほど変わる、勢いを大事にしたい」と河上監督はつぶやいた。【中尾猛】