<高校野球秋季東北大会:聖光学院6-2青森山田>◇準決勝◇11日◇秋田・こまちスタジアム

 聖光学院(福島)は青森山田に快勝。エース岡野祐一郎(2年)の連続無失点は32イニングで途切れたが、4年ぶり3度目の決勝進出を果たした。

 聖光学院の雑草右腕が、センバツ当確へ導いた。エース岡野が、今大会3戦連続完投。6回、安打と失策で2失点し、福島県大会決勝から続いていた連続無失点は32イニングで止まった。7回も先頭を塁に出したが、併殺で切り抜ける。「チームを負けさせられない」とマウンドを守り抜いた。

 投げる度に響き渡る雄たけび。投手として生きていくため、気迫を押し出すスタイルにたどり着いた。母裕子さん(43)は「感情を出す方じゃなかった。昨年の練習試合を見て、まさかと思ったら祐一郎だった」と驚く。中学時代に4番手投手だった男は、声を張り上げ力を引き出し、エースナンバーをつかみ取った。

 震災で、宮城・石巻市の実家は1階が浸水。だが「練習があるから」と、1度も故郷には戻っていない。今大会初出場の石巻工には、中学時代のチームメートがいる。開会式では久しぶりの再会。石巻工が光星学院に敗れた後には「頑張れよ」とエールを送られた。

 決勝進出は4年ぶり3度目。初の明治神宮大会出場をかけ今夏の甲子園準V校と激突する。「明治神宮大会が目標。気持ちを出して投げる」と岡野。強力打線にも向かっていく。【今井恵太】