第84回選抜高校野球(3月21日開幕、甲子園)の出場校が27日、大阪市内で開かれた選抜選考委員会で決定し、昨秋の九州大会で4強入りした別府青山(大分)が、センバツ初出場を果たした。県内初という、3カ月のメンタルトレーニングや独自の練習メニュー導入で、強豪校に劣らぬチームに成長。05年夏以来2度目の甲子園出場となった。

 悲願のセンバツ初出場、県勢3年ぶりの朗報にナインは喜びを爆発させた。グラウンドでの報告後、天に拳を突き上げ何度もガッツポーズ。書道部員による習字でのお祝いメッセージパフォーマンスも披露され盛り上がった。上原大樹主将(2年)は「ホッとしてますが目標は全国制覇。気持ちを切り替えたい」と気を引き締めた。

 昨秋の九州大会では準々決勝で福岡工大城東のプロ注目左腕、笠原を攻略するなどの快進撃で4強入り。悲願の全国切符をたぐり寄せたが、背景には伊藤弘明監督(42)の「チーム改革」があった。監督によると「とにかくメンタルが弱かった」という。そこで甲子園出場校の利用実績を持つサクセスプラン研究所(大阪)のメンタルトレーニングを県で初導入した。

 コンピューターメーカー、アップル設立者のスティーブ・ジョブズら成功者の話を6日間続けて5分間読み、7日目に感想や目標について3分間公開スピーチする。それを繰り返す内容だが、これが効果てきめんだった。昨年1月から3カ月間取り組んだことで選手の集中力、継続力、理解力が飛躍的に向上。毎日1000スイングこなせる精神力にもつながった。

 独自練習も実った。昨春から打撃投手が8~10メートルの距離から高め、低め限定で投げるフリー打撃を実施。体感速度が140キロ中盤の球を1人60球打つことでヘッドスピードが上がり、球の見極めに役立った。上野主将は「パワーアップでき、自信がついたことが大きい」と成果を認めた。

 指揮官の執念が実ったとも言える。甲子園は97年に初めて訪れた際、人目をはばからず泣いた憧れの地。「出る以上どこが相手でも勝ちに行く」(伊藤監督)。休日を利用した関西強豪校視察や毎年の夏の甲子園訪問で得た知識も駆使し、常連校にも負けない初采配を見せるつもりだ。【菊川光一】

 ◆県立別府青山

 1964年(昭39)女子校として創設され、77年男女共学になる。普通科に480人(女子271人)が学ぶ。野球部創部は78年、部員27人。05年、初出場の夏の甲子園は1回戦で東北に敗退。昨秋の九州大会は準決勝で優勝した神村学園に敗れた。OBは指揮者の山田啓明。所在地は大分県別府市野口原3088の91。大塚忠巳校長(55)。