第84回選抜高校野球大会(3月21日開幕、甲子園)の21世紀枠で初出場を決めた女満別(北海道)が29日、大空町の学校グラウンドで「雪上紅白戦」を行った。スピーディーな試合が要求される甲子園をにらみ、試合時間を1時間50分に設定。気温マイナス5度の寒さの中、19人の選手はキビキビした動きを見せ、9回を1時間47分で戦い目標をクリアした。

 センバツ決定後、女満別ナインにとって、この日が初めての雪上紅白戦だった。テーマは「スピード」。甲子園の試合間隔は2時間30分で、1試合2時間をメドに行われる。主将の平田悠人捕手(2年)らは本番を想定し、試合時間を1時間50分に設定。球審は原林章部長(46)が務めたが、塁審、コーチャー、捕手の補助、ファウルボール拾いなどは選手だけでまかなった。9回を戦い、白組が7-2で勝った試合時間は1時間47分。鈴木収監督(43)は「目標時間を下回ったので、まあ合格かな」と目を細めた。

 目的は“甲子園タイム”に慣れ、本番で戸惑わないスピーディーな感覚を植え付けること。甲子園では春夏限らず、特に初出場のチームは速い試合進行にリズムを乱し、普段の力を発揮できないままに終わるケースが見られる。雪のグラウンドでスピード野球ができれば、条件の整った甲子園では自分たちのペースで試合ができると考えた。

 気温マイナス5度の中、半袖姿でプレーした菅原賢人中堅手(2年)は「スピードを意識してやっています。特に攻守交代などは」と話し、全力疾走をした後は「暖かいですよ」と平然と言ってのけた。攻守の切り替え時間は、鈴木監督が計時。「25秒9」など、その都度、声で知らせる。

 雪上紅白戦は昨年1月から始めたが、鈴木監督が北見市内で高齢者が屋外パークゴルフに興じている姿を見たのがきっかけ。「お年寄りが外で球技をやっていて、高校生ができないということはない」。最初は試合中にふぶくと、ちらちら視線を向ける選手もいたが、無視した。雪解けで泥だらけになる3月にも行った。

 そんな成果は実証されている。冷たい雨が降った昨秋全道大会の開幕戦、エース二階堂誠治(2年)が「雪に比べれば何ともない」と函館工を相手にノーヒッターまで3人、大会記録にあと1つと迫る17奪三振を記録した。厳しい環境が選手をたくましくしている。【中尾猛】