今春センバツ(21日開幕)に出場する花巻東(岩手)の大谷翔平投手(2年)が9日、兵庫県内で行われた東洋大姫路との練習試合に先発した。左座骨を骨折する前の昨年6月以来、約9カ月ぶりの先発は「純粋にうれしかった」。骨折はマウンドで滑った際に起きただけに、この日は雨で心配されたが「痛みも怖さもなかった」と笑顔。ぬかるむ足場ながら前日の東大阪大柏原戦と同じ146キロを計測し、4回3安打5三振の無失点投球を披露した。

 その様子を、ドジャースのスカウト部門トップ、ローガン・ホワイトGM補佐(50)が見守っていた。初視察のレッドソックスとともにネット裏に現れ、前日は不在だった日本の阪神、西武と熱視線。同GM補佐は「今回はオオタニを見るためだけに来日した。ダルビッシュ2世?

 そう言われるだけのポテンシャルを秘めているし、そうでなければ大事なキャンプを抜けて、わざわざ見に来ないさ。サイズも腕の振りも素晴らしい」と高く評価した。

 09年の菊池雄星(西武)獲得交渉でも来日したことがあり、大谷は「テレビで見た顔を覚えてました。その前でチームを勝たせることができて良かった」。負傷後はセットポジション気味に投げていたが、視察に燃えたのかワインドアップを解禁した。「いい状態で開幕に向かっています」と充実した顔だった。【木下淳】