<センバツ高校野球:組み合せ抽選会>◇15日◇大阪・オーバルホール

 高校ビッグ3が初日に激突!

 第84回選抜高校野球大会(21日から12日間、甲子園)の抽選会が行われ、プロ注目右腕の花巻東(岩手)・大谷翔平と大阪桐蔭・藤浪晋太郎(ともに3年)が1回戦で直接対決することが決まった。193センチの大谷と197センチの藤浪。ともに最速150キロ超の怪物が初戦から火花を散らす。

 大谷は自然体だった。この日朝、岩手を出た大谷は「移動の新幹線で抽選結果はチェックしませんでした」。神戸市内の宿舎に到着した午後、対戦相手を知り「自分より大きな人と対戦するのは初めて(笑い)。球も速いし、藤浪君は自分より全然いい投手」と謙遜した。一方で「強い相手ほど気持ちも乗る。負けたくない気持ちはある」と静かに闘志をほとばしらせた。

 規格外の対決になる。今回で春夏通算177度目となる甲子園。その歴史で、ともに身長が190センチを超え、最速が150キロを超える投手の投げ合いは極めて異例だ。佐々木洋監督(36)が「スタンドから見ていたい」と、思わず人ごとになるのも無理はなかった。

 藤浪とは、面識もなければ投球を見たこともない。ただ、刺激になる存在だった。オフに必ず足を運ぶ書店に行けば、自分と藤浪が表紙を飾った雑誌が目に入る。左座骨の骨折で公式戦に1度も登板できず、寮の自室でふさぎ込んだ日もある昨秋。藤浪の写真を切り抜き、練習で持ち歩くクリアファイルに入れた。メニューが始まる前、それを見て「けがに負けてられない」と闘争心を高めてきた。

 借りを返す舞台でもある。昨夏の甲子園1回戦(対帝京)は左座骨を骨折した影響で、救援登板も敗戦。2年生史上最速の150キロを記録しても「甲子園には苦い思い出しかない」という。悔しさを晴らすべく、冬場は肉体改造と治療に専念。昨年12月には、修学旅行をキャンセル。「診察の予約があったので。旅行は残念だけど、本当に楽しみなのはセンバツですから」と完治へ犠牲も払ってきた。

 状態は上向きだ。8日の対外試合解禁後、東大阪大柏原、東洋大姫路、報徳学園(ともに兵庫)戦に登板し、計11回を無失点。「6割の力」で146キロも投げた。「大谷対藤浪じゃなく花巻東対大阪桐蔭」と言い、今後の練習では「仮想・藤浪」として打撃投手も務める予定。「みちのくのダル」「なにわのダル」の異名を取る超高校級右腕。怪物対決から目が離せない。(学年は新学年)【木下淳】