<センバツ高校野球:関東一2-1智弁学園>◇29日◇2回戦

 関東一(東京)は2年生エース中村祐太が直球で押す投球で、智弁学園(奈良)の強力打線を1点に抑えた。

 最後は気迫の直球攻めだった。1点差の9回裏2死二塁。関東一のエース中村は、1回戦で本塁打を放った強打者小野を迎えた。中村はひたすら直球を続け、小野もフルスイングで応じる。カウント2-2から5球連続ファウル。1球ごとに歓声が大きくなる。高めのつり球を見送られ、11球目はファウル。12球目。ついに捕邪飛に打ち取った。2年生右腕は「1点も与えられないと全力で投げた。疲れました」とあどけなく力勝負を振り返った。

 変化球全盛の中、バックスピンが利いた最速139キロの直球で押し続けた。多彩な変化球を持つダルビッシュに憧れるが「打たれて後悔したくない。変化球が投げられないのもある。そこ(変化球の習得)は頑張りたい」と苦笑いした。

 関東一は米沢監督の方針で、練習試合でスピードガンを使用しない。数値化できない、打者が体感する球の切れと伸び、制球を重視するためだ。捕手の松谷は、物理的にありえないことを承知で「普通は落ちてくるが、5センチくらいホップ気味に見える」と中村の直球を評する。尾崎(浪商)江川(作新学院)をほうふつさせる直球派の登場は、甲子園のオールドファンをうならせた。【斎藤直樹】