<高校野球春季九州大会:神村学園2-1沖縄尚学>◇準決勝◇26日◇佐賀県立森林公園野球場

 2季連続優勝を狙う神村学園(鹿児島)がサヨナラ勝ちを決め、2-1で沖縄尚学を破って3度目の決勝進出を果たした。エース柿沢貴裕投手(3年)が1失点完投。打っては9回1死満塁で右前へサヨナラ適時打を放ち、投打でチームを決勝に導いた。

 エースナンバーの重みを背負って、柿沢が試合を決めた。9回1死満塁。打席に立った背番号1は、直球を待っていた。「相手は直球しか投げてこない。外野フライを上げよう」。狙い通りに来た2球目の直球をはじき返すと、速いゴロが一塁手の右横を抜けていった。柿沢が投打で主役になり、接戦をサヨナラで制して2季連続優勝に王手をかけた。

 気合は十分だった。「相手打線も強いので三振は取れないと思った」。勝利を目指し140キロを超える直球で三振を積み上げる自分の投球スタイルを捨てた。変化球を使って丁寧に打たせてとり、奪三振はわずか2。4回に連打で1失点してからはさらにギアを上げて6回から3イニングは無安打に抑えた。9回無死一、二塁のピンチも落ち着いてその後を3人で抑え、サヨナラ劇を呼んだ。

 1カ月前の苦い経験が今に生きている。センバツ2回戦の高崎健康福祉大高崎(群馬)戦で2死満塁からの死球で失点した。ダメ押しの1点を相手に与え敗退。「力を抜いて投げた方がうまく抑えられることがわかった。練習試合でも力を抜いて投げたら結果が良くなった」。センバツの背番号は7だったが、この大会はエースナンバーをもらった。「打順も5番だし、チームの中心としてやっていかなくてはならない責任があります」と1番の重みは十分感じている。

 V2まであと1勝だ。「それは気にせず早く点を取って楽に投げたいです」。頂点に立ち、リベンジを誓った夏への第1歩を踏み出す。【前田泰子】

 ◆柿沢貴裕(かきざわ・たかひろ)1995年(平7)1月30日、東京都生まれ。小1から野球を始め、神村学園中等部へ進学。神村学園リトルシニアでは中3の夏全国8強入りした。高校では1年秋からベンチ入り。昨夏の甲子園で1試合に登板した。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。