<春季高校野球北海道大会:鵡川1-0駒大苫小牧>◇19日◇室蘭地区代表決定戦◇苫小牧緑ヶ丘
「やんちゃ」は封印する-。室蘭地区代表決定戦で鵡川の左腕・長谷川太祐(たいすけ=3年)が駒大苫小牧打線を7安打完封し、2年連続5度目の春全道を引き寄せた。これまでは捕手とけんかをするなどやんちゃぶりが目立ったが、昨秋地区3回戦の静内戦で左ふくらはぎを痛めて降板し、敗れた悔しさがエースを目覚めさせた。
勝利の瞬間、スタンドの歓声をも吹き飛ばす雄たけびが上がった。「ウォー、ウォー」。鵡川の長谷川は何度も声を張り上げ、喜びを表現した。まるで自分自身を誇示するかのように、ナインの誰よりも声を張り上げた。駒大苫小牧打線を7安打完封。7回の決勝打も自分でたたき出した。ベテラン佐藤茂富監督(72)は派手なパフォーマンスを嫌うタイプ。決勝打の場面でも一塁ベース上でガッツポーズを連発し、×サインを出されたが、主役はお構いなしだった。
前日18日4回戦の北海道栄戦で180球以上を投げた。この日朝の練習で、疲労を不安視した佐藤監督から「2番手で」と言われたが、「大丈夫です」と譲らなかった。「(ガッツポーズは)隠れてやったつもりだったんですけど。疲れはバリバリあるけど、相手は強いので、自分が投げないと勝てないと思った」と強気な一面を見せた。
独り舞台だった。130キロ台後半のストレートを中心にぐいぐい押し、要所を締めて1度も本塁を踏ませなかった。打っては両校0行進が続いた7回裏1死二、三塁、外角低めの直球を抜群のバットコントロールで左前に運び、決勝点をもぎ取った。佐藤監督は「あいつで勝った。たいしたもんだよ」と褒めたたえた。
エースの自覚が芽生えた。長谷川は昨秋までサインを自分で出し、自分の投げたい球を投げた。試合中でも捕手と口論するなどやんちゃだったが、昨秋の静内戦で左足ふくらはぎをつって降板。チームも敗れた。試合後、涙を流しながら大人になることを誓い、変貌を遂げた。
練習中でも、捕手とその日の投球を振り返るなどコミュニケーションを図った。今ではサインは捕手が出す。この春から投手リーダーになり、3学年13人をまとめるまでになった。「あの試合があったから、今日がある。今は熱くなってもグッと我慢できる」と言う。今冬は下半身強化に励んだ。すべては夏に大舞台をつかむため。「甲子園に行きたい」。目標に向かって、エースが次の階段を駆け上がる。【松末守司】

