<春季高校野球北海道大会:帯広柏葉3-1白樺学園>◇20日◇十勝地区代表決定戦◇帯広の森

 十勝地区代表決定戦で、帯広柏葉が昨夏の甲子園代表、白樺学園を下し、41年ぶり3度目の代表権をつかんだ。右腕エースの喜多力投手(3年)が5安打1失点の完投。周囲の度肝を抜く球速65キロ程度のスローボールを繰り出し、昨夏の甲子園メンバー6人が残る強力打線を翻弄(ほんろう)した。

 最後の1球、決め球はスローボールだった。相手打者は来ると分かっていても、ほぼ直球と同じ腕の振りで、カーブの握りで投げられる球にタイミングが合わない。帯広柏葉の喜多は、振り向いて左飛を確認すると、派手に左手を挙げて喜んだ。「相手は強力打線なので中軸には緩い球を使いました」と、してやったりだ。

 速球は130キロ台で、その半分程度の約65キロの緩い球が効果的だった。このじれったいスローボールが、この日まで3試合40安打、30得点をたたき出した白樺学園打線をてこずらせた。中軸には9打数2安打ながら打点0。7回1死二、三塁もこの球で乗り切った。山木真之介捕手(2年)は「ピンチの時に使います。低めにコントロールしていれば大丈夫」と自信を持って約10球を投げさせた。

 昨年からこの超遅球に取り組んでいたが、本格的に使い始めたのは5月上旬から。練習試合で3試合連続本塁打を浴びたため、森川孝広監督(52)から「緩急をもっとつけなさい」と指摘された。最初はスローカーブなどを試したが結局、この球に落ち着いた。喜多は「握りはカーブなんですが曲がらない」と笑う。

 チームにとっても格別の勝利だった。この日を含め3年連続で春の代表決定戦で白樺学園と対戦。過去2度は悔しい敗退が続いていた。昨年オフは、食事をしっかりと取り体重は平均4キロ増。学校近くのすずらん公園を走ったり八幡神社階段のダッシュを繰り返し、口には出さないが「打倒白樺」が胸にあった。主将の鶴身優遊撃手(3年)は「勝てて良かった。三度目の正直でした」と喜んだ。

 秋に続く全道進出だが春は41年ぶり。喜多は「野球が楽しい、みんなで力を合わせるとすごいことができる。もっと強い相手に緩い球を投げます」と誓った。【中尾猛】