<春季高校野球岩手大会:盛岡三8-6水沢一>◇23日◇1回戦◇花巻

 ストップ・ザ・私学-。昨秋、40年ぶりに東北大会に出場した盛岡三が水沢一をサヨナラで下し、初戦を突破した。昨夏には22年ぶりに決勝の舞台を踏んだが、花巻東に0-5で敗戦。94年の盛岡四を最後に遠ざかる「公立から甲子園」の夢を実現すべく、昨冬は打撃強化に取り組んだ。他校から積極的に練習法を学んだ柴田護監督(40)の下、県内有数の進学校が公立の意地を見せる。

 計29安打が飛び交った乱打戦に終止符を打ったのは、辛酸をなめていた男の一撃だった。同点の9回2死二塁。4回途中から右翼に入っていた臼沢憲太郎(3年)は、昨夏のレギュラーだった。だが、守備面の不調で今春は控えに回っていた。「必死に食らい付いた」と内角直球を強振。悔しさを乗せた打球は、右翼ポール際に飛び込んだ。

 昨夏、公立勢で17年ぶりとなる甲子園の期待がかかったが、花巻東に完敗した。89年夏に1番右翼で甲子園に出場した柴田監督は、3年で母校を決勝まで押し上げたが「長打も打てるようにならないといけない。打力の向上が必要」と痛感。4番大崎将弥主将(3年)は「多い時に1日2000回」と冬場に振り込んだ。

 県下有数の進学校。生徒が学べば、教師も学ぶ。「公立の子も生き残る方法があるんじゃないか」と日々模索する柴田監督は昨秋の東北大会後、光星学院(青森)を訪ねた。「あれだけ力のある子たちが、理にかなった打撃をしてる」。目からうろこだった。山形中央など他の強豪校にも足を運び、照明も室内練習場もない環境で、理論と練習法を選手に還元した。臼沢のサヨナラ弾は、高校初本塁打。チームはこの日15安打で8得点と打ち負けなかった。効果は表れ始めている。

 昨年の快進撃もあってか「他県の上位校とも試合を組んでもらえるようになった」(柴田監督)。西武菊池を輩出した、盛岡東シニアで主力だった大崎は「ずっと公立が勝ててないから」と盛岡三に進んだ。昨春から県内3連覇中の花巻東には、その時のチームメートもいる。「また夏にやりたい」。公立勢の覇権奪還に向け、全力で春を戦う。【今井恵太】