<高校野球北北海道大会:紋別8-3女満別>◇26日◇北見地区1回戦◇北見市東陵公園

 北北海道の本命の夏は、あっけなく終わった。北見地区1回戦で、今春センバツに21世紀枠で出場した女満別が紋別に敗れた。最速145キロの右腕エース二階堂誠治(3年)が先頭打者本塁打を浴びるなど制球に苦しみ、初回にいきなり6失点。3回にも2点を奪われた。強力打線が相手の倍となる10安打を放ち、必死の反撃を見せたが、まさかの試合展開で涙をのんだ。

 春夏連続甲子園の夢は、1時間49分で消えた。女満別ナインが、がっくりと肩を落とした。鈴木収監督(43)もショックを隠せない。ベンチから審判員室へ直行。約10分後、気持ちを整理してから報道陣の前に現れた。「すべて監督の責任。選手はよくやってくれた」と静かに話し、地域ぐるみで応援してくれた大空町民らに「大変申し訳ない」と唇をかんだ。

 魔の1回裏。二階堂が投じた4球目が、左翼芝生席に飛び込んだ。初めて経験する先頭打者アーチに「やっぱりか」という不安がよぎった。2日前(24日)に春季全道後、初めて本格的に投球したが、右肘に違和感があった。独自の調整法を貫き、故障とは無縁だったが、最後の夏に恐れていた悪夢が襲った。四球、自らの野選、四球でピンチを広げ、2長打と犠飛などで6点を失った。

 「久しぶりに投げて、自分のフォームを忘れてしまった」。二階堂はサバサバとした表情で言った。2回以降、ブルペンでスライダーのリリースポイント修正を試みた。4回からは無失点に抑えたが、序盤のダメージは大きすぎた。主将の平田悠人捕手(3年)は「球は悪くなかったけど、制球力がなかった。夏も勝たないと、というプレッシャーは多少ありました」と涙を見せずに振り返った。

 センバツでは九州学院(熊本)に敗れはしたが、スピード野球で高校野球ファンを魅了した。オホーツクの小規模校から聖地を踏み、さわやかな印象を与えた。平田主将は言った。「悔しいですけど、自分たちは一生懸命やった。後輩たちはこの悔しさを、次の大会にぶつけてほしい」。涙に暮れる1、2年生に、熱いメッセージを送った。