今月27日、世界中が注目するロンドン五輪が開幕する。高校野球でも、水泳の北島康介(29=日本コカ・コーラ)、陸上のディーン元気(20=早大3年)らメダルが期待される選手の母校にスポットを当てた。

 兵庫の強豪・市尼崎から、五輪に臨むアスリートが誕生した。風にはためくディーン応援の垂れ幕が、グラウンドに向かうナインの目をとらえる。9日には壮行会が行われる予定。「ぼくらも負けてはいられません」と、エース瀬戸茂孝(3年)は力を込めた。

 プロ注目右腕の瀬戸は、29年ぶりの夏の兵庫代表への切り札だ。昨年の兵庫大会2回戦・報徳学園戦で敗れたが5回まで被安打0と好投した。今夏も6月の練習試合・龍谷大平安(京都)戦で、今年の高校球界を代表するスラッガー高橋大樹外野手(3年)から2三振を奪った。その試合で自己最速を2キロ更新する144キロをマークした。

 瀬戸は、帰省時に母校で練習するディーンとトレーニング室で顔を合わせた。「身体が大きくて、かっこいい方でした」。イケメンエースも、陸上界のスター選手に圧倒された。だが少し運命が変わっていれば、同じ白球を追う先輩と後輩になっていたかもしれない。ディーンは小学校時代、少年野球の捕手。今も熱心なオリックスファンで、草野球チームから誘われることもある。

 瀬戸の女房役、新井健大捕手(3年)は兄がディーンの市尼崎時代のクラスメート。「リーダーシップの取れる友だちだったと聞きました」と振り返る。身近な人が同じ環境で力を磨き、五輪に向かう。激戦区・兵庫だが「ぼくらにも必ずチャンスがある」と瀬戸。五輪開幕の翌28日、兵庫代表が決まる。【堀まどか】

 ◆瀬戸茂孝(せと・しげたか)1994年(平6)8月1日、兵庫・尼崎市生まれ。武庫庄小3年から「武庫西パイレーツ」で野球を始め、常陽中では軟式野球部に所属し、外野と投手兼任。市尼崎では1年夏から背番号11でベンチ入り。50メートル走6秒7。好きな選手は阪神藤川。180センチ、82キロ。右投げ右打ち。