<高校野球京都大会:福知山成美7-0桂>◇10日◇2回戦◇わかさスタジアム京都

 福知山成美の桑原大輝が、先制打で夏のデビューを飾った。2回2死三塁の初打席で左前に適時打。無死一塁から7、8番の3年生が犠打と進塁打でつくった得点機を生かし「打ててよかったです。夏はベンチの盛り上がりがすごいです」と、兄によく似た彫りの深い顔をほころばせた。

 「兄の分まで夏は頑張りたい」の言葉に実感がこもる。昨秋DeNAにドラフト4位で入団した兄将志にとっては、昨夏が高校最初で最後の夏だった。1年春から正三塁手でベンチ入りも、同年夏は部内外暴力で1年生の京都大会出場を差し止められ、2年時は寮での部内暴力で部全体が夏を含む6カ月の対外試合禁止処分。3年夏は4強で力尽きた。プロ入りの夢は果たせても甲子園には春夏一度も届かなかった。

 兄からは、福知山成美で一緒に練習した2年間、打席でいろいろ考えず投球に集中すること、配球を読むことを教わった。さらに「ぼくは打撃がだめなんで(右手の)押し込みを教えてもらった」。1年冬にできるようになり「珍しくほめてくれました」。田所孝二監督(52)からは「足の速さは兄貴以上」と評価される。兄の背中を追い、兄の届かなかった甲子園の舞台に立つ。【堀まどか】

 ◆桑原大輝(くわはら・だいき)1996年(平8)2月3日、大阪府生まれ。芦部小2年から「芦部ジャガーズ」で内野手として野球を始める。郷荘中では「和泉ボーイズ」に所属し外野手に転向。高校では1年春からベンチ入り。遠投90メートル。50メートル5秒8。本塁打0本。3人兄弟の末っ子で、次兄将志はDeNA内野手。170センチ、67キロ。右投げ右打ち。