<高校野球西東京大会:日野8-4日大鶴ケ丘>◇18日◇4回戦◇神宮球場

 都立の雄、日野がまたも大物食いだ。3回戦で全国屈指の名門早実を延長13回で下したが、今度はプロ注目の大高光投手(3年)を擁する第1シードの日大鶴ケ丘を破って8強に一番乗りした。早実戦で221球完投したエース佐々木千隼(ちはや=3年)が中2日で124球、4失点完投。1回に先制2点適時打、8回に特大本塁打を放つなど投打に活躍した。

 まさに日の出の勢いだ。最後の打者を遊飛に打ち取った佐々木は、第1シードの強豪撃破に両手を上げた。右打者の内角を突くナチュラルにシュートする直球とスライダーを軸に9安打4失点完投。記者から「2試合連続の金星か」と問われると「僕たちは甲子園しか目指してない。準優勝でもベスト8でも一緒。その第1歩です」とプライドをにじませた。

 5番打者として打撃でもけん引した。1回2死一、二塁、大高のカーブをとらえ左中間を破った。「流れを持ってこれた」という先制2点二塁打。8回には左翼席中段まで届く特大の高校通算33号。「緩い球を狙ったらドンピシャできた」。使用した打撃用手袋は早実・佐藤光一外野手(3年)から渡されたもの。「佐藤くんのおかげかな」と友情に感謝した。

 延長13回の激闘だった早実戦から中2日。体の張りや疲労はあったが、ストレッチや睡眠を増やし「次も絶対勝ってやろう」と意気込んでいた。早実戦の延長11回に無死満塁を無失点でしのぎ「経験値が上がった」と感じていた。

 母浩子さん(50)は3兄弟の末っ子を「負けず嫌い」と評する。兄朋也さん(22)と郁也さん(19)が4歳から自転車に乗り始めると、千隼は負けじと2歳から乗った。1年後。3歳になると自ら補助輪を「外す」と言い張った。「三男なので自分もできるというところを見せたかったのでしょう」と浩子さん。「強い子になってほしい」とつけられた「隼」の名は、物おじしない性格に成長した。

 準々決勝は昨年の4回戦、09年の準決勝で敗れた日大三が相手だ。「三度目の正直で勝ちたい。自信はあります」。隼は次の獲物を狙っている。【斎藤直樹】

 ◆都立日野高校

 1966年(昭41)創立。野球部は1970年創部。部員数84人。夏の最高成績は09年の4強。10年は5回戦、11年は4回戦進出。02年には横川雄介捕手が巨人から都立高在学中で初めてドラフト指名を受けた。