<高校野球栃木大会:宇都宮工6-0矢板>◇21日◇3回戦◇宇都宮清原球場

 プロ注目の宇都宮工・星知弥投手(3年)が、自己最速を4キロ上回る150キロをたたき出した。6点リードの9回表に登板。140キロ台後半を連発し、15球目に大台を突破した。

 6点リードの9回表、出番がやっと来た。星は「1イニングなんで全力で投げた」と思いっきり腕を振った。先頭打者への6球目。自己最速146キロを1キロ上回る147キロを測定。その後も148キロ、149キロと自己最速を連発した。迎えた2死から投じた15球目。「三振を狙った」という直球は150キロを計測。スタンドはどよめいた。「球速は意識しなかった。三振を狙いすぎて力みすぎちゃいました」と反省しつつも笑みがこぼれた。

 春の関東大会後フォームを崩し、自分の投球を見失った。「体が突っ込み、手投げになってしまった。球にキレも伸びもなくなってしまった」と分析。自分のフォームを取り戻そうと基礎から取り組んだ。1日に右左翼ポール間20本のランニング、シャドーピッチングを気が済むまでやった。

 試行錯誤した結果、感覚が戻りつつあった。6月の練習試合を重ねると徐々に良くなった。今大会が始まり、2回戦石橋戦では6回の途中から登板しピンチを三振で切り抜け、3回1/3無失点の好救援。「まだ本調子ではないが、どんどん良くなってきている」と手応えを感じる。

 この日投じた20球のうち8球、自己最速だった146キロを超えた。注目右腕を見たさに集まったスカウトは、中日、日本ハム、ロッテ、西武、巨人の5球団。西武奥薗満球団本部編成部部長は「テンポも良い。腕も振り切っている」と評した。巨人吉武真太郎スカウトは「体に力があるし、馬力もある。高い評価をさせてもらってます」と絶賛した。試合をこなすごとに調子を上げてきた星が、夏の甲子園でスターになるまで突っ走る。【細江純平】

 ◆星知弥(ほし・ともや)1994年(平6)4月15日、栃木・那珂川町生まれ。小4から馬頭ラッキーで野球を始める。中学時代は3年時に県大会ベスト8が最高。高校から硬式を始め、2年秋からエース。家族は両親、妹、祖父、祖母。180センチ、78キロ。右投げ右打ち。