<高校野球南北海道大会:札幌一5-0北海>◇21日◇準決勝◇札幌円山

 プロ注目右腕、北海・玉熊将一投手(3年)の夏が終わった。1年秋から強豪北海の背番号1を背負い、昨春は2年生ながら鋭いスライダーを武器にセンバツ8強入りした。この日も9回13三振。準々決勝の函館大有斗戦から2戦25三振と力投も、夏連覇には届かなかった。「悔いはないです。すべて出し切ったので」。9回1死からは意地の左翼線二塁打も放った。号泣するチームメートの中、真っすぐ前を見た。涙はなかった。

 2度、甲子園のマウンドを踏んだ男にも、思わぬ落とし穴があった。2、4回に相手の好走塁もあり1点ずつ失った。平川敦監督(41)は「少し神経質になっていた。あそこから嫌な展開になってしまった」と振り返った。7回、先頭打者に四球を出し、そこから3失点。制球に絶対的自信のあるエースが、計7四死球で5失点と崩れた。

 主将として迎えた最後の夏。部員94人のリーダーは「北海野球を1、2年生に伝えられたと思う。後輩たちには僕らの分まで頑張ってほしい」と胸を張った。背番号1を背負い1年半。野球を通じ伝えることの大切さ、難しさも味わった。進学コースに在籍し、成績も常にトップクラス。大学進学濃厚も「先のことはこれから。1回、頭を整理して将来について考えたい」と静かに言った。【永野高輔】