<高校野球大阪大会:大阪桐蔭10-8履正社>◇29日◇決勝◇舞洲球場

 センバツ王者の大阪桐蔭が4年ぶりに大阪の頂点に立った。10-1の8回に履正社の猛反撃にあい、エース藤浪晋太郎(3年)は8回途中8失点降板。冷や冷やの勝利で、昨夏決勝敗退の悪夢を終わらせた。8月8日開幕の甲子園大会で、史上7校目の春夏連覇を目指す。

 マウンドで、最後の打者を打ち取った沢田圭佑(3年)が、泣きながらほえていた。藤浪がいたのはベンチ。自分のことは情けなくても、まさる喜びがそこにあった。右腕を突き上げ、沢田に向かって走った。

 藤浪

 情けないとしか言いようがないです。これだけ点取ってもらったのに。

 7回までは、マリナーズなど日米9球団の前で3安打1失点。だが8回に6安打2四球。捕手の森友哉(2年)が険しい顔でマウンドに来た。「球を低めに集めましょう」。それでも制御できなくなった。

 藤浪

 心のコントロールはできた。技術のコントロールができなかった。昨年と同じことをしました。

 昨夏決勝の悪夢がよみがえった。5点リードを守れず7回途中降板し、サヨナラ負けを招いた。今年は、救援の沢田が助けてくれた。「自分は藤浪を絶対に負けさせない投手になる」とエースを上回る制球力を身につけてきた右腕が流れを断った。打線も田端良基内野手(3年)の2ランなど大量点で援護した。

 選抜大会で優勝したその日から西谷浩一監督(42)は「夏勝たなければ意味がない」とナインに言い続けた。「昨年の夏に負けたからです。残酷でかわいそうな負け方をさせた。なんとか夏の甲子園に出してやりたかった」。藤浪も「自分も悔しさを糧にする」とグラウンドコートを着込み夏場のトレーニングを敢行。父晋さん(49)が「春の優勝後も気持ちがゆるまない」と目を見張った緊張感で夏に臨んできた。

 前日28日、監督に呼ばれた。「大阪の山を乗り越える、その先頭を切ってくれ」と決勝先発を託された。この日の結果はふがいなくても、借りを返せる舞台がある。「この借りは甲子園で」。自分との戦いがまた始まる。【堀まどか】

 ◆春夏連覇へ

 大阪桐蔭は史上7校目の春夏連覇に臨む。優勝したセンバツでの5勝はすべて藤浪が挙げ、準々決勝・浦和学院(埼玉)戦以外は先発完投。チーム打率は3割3厘で、笠松悠哉内野手(2年)の2本を筆頭に5選手が本塁打を放った。1チーム5人が本塁打を打ったのはセンバツタイ記録。強力打線を備え2年ぶりの快挙に挑む。

 ◆大阪桐蔭

 1983年(昭58)に大産大付大東校舎として創立の私立校。88年に現校名。普通科で生徒数は2221人(女子883人)。野球部は88年創部で部員は66人。甲子園は過去夏5度、春5度出場。夏は91、08年、春は12年優勝。主なOBは西武中村剛也、日本ハム中田翔ら。大東市中垣内3の1の1。森山信一校長。◆Vへの足跡◆1回戦6-0千里2回戦14-0牧野3回戦6-2門真西4回戦2-0箕面東5回戦10-0生野工準々決勝7-2東大阪大柏原準決勝10-0近大付決勝10-8履正社