<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇4日

 大型ルーキーが高校初の投球練習を甲子園で迎えた。全国高校野球選手権(8日開幕)に出場する常葉学園橘(静岡)は4日、甲子園練習を行った。午前8時半からの30分間でノックとシート打撃をこなし、最後は投手陣がマウンドへ。大トリを務めたのは木村聡司遊撃手(1年)だった。マウンド横からの投球も含め20球。179センチ、68キロの体を躍動させ投げ込んだ。

 付属中では3年時にエース。軟球で最速139キロを誇った右腕だが、高校では打撃センスを買われ野手で起用されていた。入学以降初の練習マウンドが聖地となり「うれしい。やっぱりマウンドはいいな」と喜びをかみしめた。黒沢学監督(35)は「練習でもあそこで投げたら人生で価値あるものになる」と、本番での登板の可能性の低さを示した上で「チャンスがあれば投げさせたい」と語った。エース候補に大舞台の経験を積ませたい思いはある。

 もっとも、よほどの大差がなければ登板は難しい。チャンスは自分のバットでつかむしかない。この日のシート打撃では「センターに素直に打ち返せた」と手応えを得た。今日5日には組み合わせ抽選会が行われる。新たな目標を得た木村が全国に存在を知らしめる。【石原正二郎】