<全国高校野球選手権:作新学院9-5佐久長聖>◇9日◇1回戦

 代打逆転本塁打が飛びだし、昨夏4強の作新学院(栃木)が初戦を突破した。3-4で迎えた6回1死一塁。代打で登場した吉田紘大外野手(3年)が、今夏の大会第1号となる2点本塁打で逆転した。代打の逆転弾は88年宮内洋(宇部商)以来、史上2度目。背番号16が甲子園初打席で放った1発が決勝打となり、佐久長聖(長野)を退けた。常総学院(茨城)は14安打14得点と打線が爆発し、佐々木力監督(46)の初陣で大勝した。

 ベンチで出番を待ちわびていた。「回ってきたら絶対打とう」。1点を追う6回1死一塁。背番号16の吉田がコールされた。春夏通じて甲子園初打席に「一、二塁間が広い。思い切り振って、ゴロで抜ければ」。1ボール2ストライクの5球目。高めのボール球を振り抜くと、ライナー性の打球が右翼フェンスを越えた。

 代打逆転本塁打は24年ぶり2人目。8日に誕生日を迎えたばかりの18歳は「思い切り振った結果。打った瞬間、少し焦ってダッシュしてしまって。もっとゆっくり回れば良かった」と初々しく語った。今大会1号は、自身の高校通算2号。公式戦では初本塁打だった。

 作新学院は3季連続の甲子園出場だが、吉田は初のベンチ入り。相次ぐけがに悩まされていたからだ。昨年12月、練習試合のヘッドスライディングで右肋骨(ろっこつ)を骨折。今年2月には左膝の筋肉疲労や成長痛なども重なり、歩行も困難に。この間に上半身をベンチプレスで鍛え直し、2カ月で60キロから90キロを上げるまでにパワーアップ。「打球が飛ぶようになった」と春季県大会からベンチ入り。夏の栃木大会では決勝を含む2試合にクリーンアップで先発出場し、通算9打数4安打と活躍した。

 今夏の作新学院は春季大会後に捕手を入れ替えるなど、チームづくりは遅れた。6月には佐久長聖との練習試合で大敗した。同じチームに甲子園でリベンジを果たしたのは、当時より選手層が厚くなった証し。最大4点差を逆転しての初戦突破で勢いに乗り、頂点へ突き進む。【斎藤直樹】

 ◆代打本塁打

 作新学院・吉田が記録。大会11人目。代打逆転弾は88年宮内洋(宇部商)以来2度目。代打本塁打が勝利打点となったのは前記宮内と94年梶原誉弘(柳ケ浦)に次いで3度目。

 ◆夏の甲子園球場1300号

 作新学院・篠原の本塁打は夏の甲子園球場で通算1300号。大会通算では1333号だが、このうち33本は甲子園球場以外(豊中5、鳴尾15、西宮13)で出ている。