<全国高校野球選手権:光星学院4-0遊学館>◇12日◇2回戦

 「坂本2世」が甲子園初本塁打をバックスクリーンに放り込んだ。光星学院(青森)の4番北條史也内野手(3年)が9回に特大2ラン。同校OBの巨人坂本勇人内野手(23)をほうふつとさせる大型遊撃手の活躍で、2季連続甲子園準優勝校が好発進した。

 バックスクリーンに低い弾道で飛び込む一撃に、3万8000人の観衆がどよめいた。9回2死三塁。4番北條は、真ん中低めの甘い直球を逃さなかった。「変化球がストライクになってなかったので、真っすぐに絞った。完璧です」。昨春センバツから13試合目での甲子園初アーチ。高校通算22本目だが「ここでホームランを打つことを目標にやってきた」と格別の1発に頬が緩んだ。

 走攻守そろった「坂本2世」の呼び声高い大型遊撃手。バック宙ができるほどの優れた身体能力は、4歳で始めた体操で培った。ロンドン五輪金メダリストの内村航平(23)が所属する、コナミスポーツの体操クラブに入門。小3の時には全国大会に出場し、鉄棒で「銀メダル」を獲得した。「野球の方が好きだから」と小4で競技をやめる前、「選手コース」に誘われたほどの腕前だった。

 “内村2世”への道は断たれたが、体操で身につけた柔軟性は、守備のフットワークに生きている。板チョコ状に割れた腹筋も「体のバランスが良くなったから」。内村の個人総合金メダルで体操が恋しくなった?

 のか、大阪の宿舎では倒立で体幹強化に励んでいる。「2分を2セット。廊下でやってます(笑い)」。体操を原点とする体の強さが、鋭い打球を生み出すパンチ力の一因となっている。

 センバツ以降は筋力アップに励み、体重は2キロ増の75キロ。体操選手顔負けの筋骨隆々のボディーで、ボールを力強くたたく。プロ野球選手として活躍するのが夢だが「このメンバーと1日でも長くやりたい」。東北勢が、いまだなし得ていない全国制覇。今夏の日本選手団の活躍に負けじと、そのバットで“金メダル”を取りにいく。【今井恵太】

 ◆北條史也(ほうじょう・ふみや)1994年(平6)7月29日、堺市生まれ。小4年の時、浜寺ボーイズで野球を始める。オール狭山ボーイズ時代は中学通算30本塁打。光星学院では1年春からベンチ入り。家族は両親と兄、弟。右投げ右打ち。177センチ、75キロ。血液型O。