<全国高校野球選手権:東海大甲府4-2龍谷大平安>◇17日◇2回戦

 龍谷大平安(京都)高橋大樹外野手(3年)の夏が終わった。東海大甲府(山梨)戦は4打数無安打で16強入りはならず。阪神は高橋を今秋ドラフトの野手最上位候補に挙げ、この日もネット裏から熱視線。巨人も同様で、未来の大砲候補をドラフトまでマークし続ける。

 高橋は9回、遊ゴロに倒れ、天を仰いだ。阪神などスカウトが見つめる中、高校通算43本塁打を誇る龍谷大平安の主砲は不発のまま不完全燃焼で夏を終えた。

 第1打席で狂った。追い込まれてから外角のスライダーにバットが止まらない。速球派右腕対策を施し、打撃投手を前に立たせて練習を行ったが、裏目に出た。「もっと速いと思っていた。分かっていたのに、スライダーを振ってしまった。自分の実力が足りなかった」2打席目以降も修正が効かず、4打数無安打、2三振。「自分が打っていれば」と悔やんだ。

 昨夏の初戦・新湊戦(富山)で特大の1発を甲子園の左翼スタンドへぶち込んだ。捕手だったこともあり同校OB西武炭谷になぞらえ、銀仁朗2世と呼ばれ脚光を浴びた。だが、昨秋は京都大会準々決勝敗退。さらに1月5日に右肩と右肘にメスを入れ「どん底を見た」。まだ万全ではなく、違和感をかかえたままの夏だった。それでも1回戦では4安打と意地を見せた。

 不発でも今秋ドラフト目玉の評価は変わらない。野手最上位候補に挙げる阪神は、1回戦に続き現状確認に訪れ、ロッテも熱視線。巨人は甲子園大会直前のスカウト会議で高橋をリストに入れマークを続ける。本人も試合後に「プロに行けるなら、行きたい」と進路はプロ入り1本を明言した。

 無安打では土を持ち帰る気になれなかった。公式戦では負けるたびに泣いたが「決めていたから」と涙を見せなかった。未来の大砲は胸を張って甲子園を去った。【池本泰尚】

 ◆高橋大樹(たかはし・ひろき)1994年(平6)5月11日、大阪・藤井寺市生まれ。道明寺東小3年から「大井リバーサイド」で捕手として野球を始める。道明寺中では「河南シニア」に所属し、3年時に世界選手権出場。龍谷大平安では1年秋からベンチ入り。甲子園通算14打数7安打1本塁打。50メートル6秒0。遠投85メートル。好きな選手は巨人長野。181センチ、77キロ。右投げ右打ち。