<練習試合:関学大5-5高校日本代表>◇27日◇大阪・関学大上ケ原グラウンド

 楽天が今秋ドラフトの1位指名候補として、光星学院(青森)・北條史也内野手(3年)の評価を急上昇させていることが27日、分かった。次代を担える逸材として、地元・東北ゆかりの大型遊撃手のマークを続ける。これまで1位指名は即戦力投手が定番だったが、高校生野手の指名に踏み切る可能性が出てきた。なお、第25回IBAF18U世界野球選手権(30日~9月8日、韓国・ソウル)に参加する高校日本代表はこの日、兵庫・西宮市内で関学大との練習試合を行い、引き分けた。

 バックスクリーン2連発が与えた衝撃は大きかった。今夏の甲子園大会。準決勝の東海大甲府(山梨)戦で、北條は2打席連続本塁打を放った。観戦した球団幹部は「東北のスーパースター。スイングが素晴らしい。4打席あれば1回は仕留める。空振りしても、それを次の打席に生かせる頭脳もある」と賛辞を並べ、「当然、リストに入っている」と、最上位の指名候補であることを認めた。

 楽天はドラフト戦略に“地元重視”を掲げ、東北の選手に注目。早くから花巻東(岩手)・大谷翔平投手(3年)の密着マークを続けてきた。1位指名の筆頭候補と思われていたが、ここに来て北條の株が上がった格好だ。同幹部は「東北の冬は練習が限られる。過酷な環境を乗り越えて甲子園の決勝まで行った。東北のプロ球団として励みになるし、応援したい」と続けた。大谷、北條に加え、光星学院・田村龍弘捕手(3年)や、酒田南(山形)・下妻貴寛捕手(3年)も評価しており、東北の“豊作”が、うれしい悩みとなっている。

 最終的には三木谷オーナーの意向も踏まえ、ドラフト直前まで絞り込みを続ける。星野監督は「まだ投手が必要」と話し、即戦力投手の指名もありえる。ただ、今季は美馬、辛島、釜田と若い先発投手が台頭。一方で、正遊撃手の松井の後継を育てる必要がある。また、チーム本塁打が12球団最少33本(27日現在)にとどまっており、長距離砲育成は長年の課題だ。北條は楽天が求める条件を備えていると言える。創設から9度目のドラフトで、初めて高校生野手を1位指名する可能性は十分ある。