<高校野球岐阜国体:大阪桐蔭13-0桐光学園>◇準決勝◇3日◇岐阜・長良川球場

 大阪桐蔭が3冠を達成した。桐光学園(神奈川)に大勝。雨天順延で決勝が消滅したため、準決勝の勝利で初優勝を決めた。春夏甲子園と国体の3冠は、98年横浜(神奈川)以来14年ぶり3校目。エース藤浪晋太郎投手(3年)は9回に登板し、最速149キロで1回を1安打無失点に抑えた。

 甲子園の決勝とは違う惜別の思いが、藤浪の顔にあった。9回2死二塁、最速153キロ右腕が選んだのは113キロカーブ。中飛を見届けてマウンドを降りると感傷に浸った。「3年間やってきた桐蔭の野球が終わったんだと思った。このユニホームを着て戦うことはもうないんだなと思った」。

 努力次第で悔しさは成長に変えられると学んだ。2年夏の大阪大会決勝で逆転負けし、秋の近畿大会準々決勝も逆転負けした。2度の悔し涙から、妥協のない練習で下半身を鍛え、投球フォームを安定させた。硬かった股関節は180度開脚が可能になり、剛球と多彩な変化球を操るようになった。西谷浩一監督(43)に「最後まで自分の投球をしなさい」と送り出された9回。149キロ、148キロと速球を続けて空振り三振を奪い、カーブで締めくくった。横浜・松坂大輔以来の3冠に「チームが勝って終われてよかった」と安堵(あんど)した。

 レンジャーズ・ダルビッシュ、広島前田健を追い「技術的にも人間としても尊敬される投手になりたい」と、高い目標に挑む。ドラフト1位を公表する阪神などプロとの接触はきょう4日から解禁。「プロはレベルが上がるのでどうなるかわかりませんが、これくらい勝負強く勝ちにこだわっていきたい」。常勝への使命感を胸に、次のユニホームに袖を通す。【堀まどか】