<高校野球岐阜国体:仙台育英11-1県岐阜商>◇準決勝◇3日◇岐阜・長良川球場

 仙台育英(宮城)が創部82年目で初の日本一に輝いた。県岐阜商に20安打を浴びせ圧勝。日程順延で決勝戦が行われず、大阪桐蔭と両校優勝となった。3年生が有終の美を飾り、明日5日に開幕する東北大会(福島・あづま球場ほか)に臨む後輩たちは2季連続甲子園出場を目指す。

 打って、打って、打ちまくった。前日の2回戦に続いてベンチ入り16人全員が出場。13人がヒットを放ち、20安打11得点で県岐阜商を圧倒した。ナインはヒットが出るたびに楽天のパフォーマンス「バーン」を繰り出し、笑顔が絶えない。小杉勇太主将(3年)は「甲子園後に新チームとやった練習試合から、みんなが勝手に始めた」。持ち前の明るさを存分に発揮し、勢いは止まらなかった。

 抜群のチームワークを証明した。20安打でも、1人で3本以上放った選手はいない。つないで得点を重ねた。大会中の2日に、選手たちは岐阜城がそびえる金華山へ。約50分歩いて頂上を目指した。織田信長が天下統一への本拠とした城を見ながら誓った全国制覇の目標を、全員野球で達成。小杉主将は「最後の最後に、育英が今まで届かなかった日本一になれてうれしい」と充実した表情で3年間を振り返った。

 2年生4番がしっかりバトンを受け継いだ。10-1の9回2死、上林誠知中堅手が内角直球を右翼スタンドへ。高校通算6本目に「完璧です」と胸を張った。明日5日に開幕する東北大会に臨むため、チームは大急ぎで名古屋駅へ向かい新幹線で帰仙。新チーム主将の上林は、今日4日早朝に福島へ移動する。「疲れたとか言っていられない。今度は自分たちで明治神宮大会とセンバツに出たい」。日本一の余韻に浸ることなく、次の舞台へ気持ちを切り替えた。佐々木順一朗監督(52)が「3年生の力を後輩たちに与えてほしい」と臨んだ国体で優勝。今度は甲子園の大優勝旗を仙台に持ち帰る。【鹿野雄太】