<明治神宮大会:仙台育英7-1北照>◇13日◇高校の部準決勝◇神宮

 北照(北海道)が仙台育英(東北・宮城)に敗れ、2年連続3度目の悔しい準決勝敗退となった。先発したエース大串和弥投手(2年)が4回に3ラン、7回には満塁本塁打を浴びるなど7失点で力尽きた。初の決勝進出は逃したが、2番手で8回から救援した1年生左腕の斎藤綱記投手が好投。2イニングを1安打無失点に抑え、大串1人に頼ってきた投手陣に、全国舞台で使える1枚が加わった。

 1-7と敗色が濃くなった8回、北照はエース大串に代わって斎藤をマウンドに送った。斎藤はこの試合が初めての全国舞台、打席には4回に先制3ランを放った仙台育英の小林を迎えた。「打者を見て全国だなあと感じました。雰囲気があり、自分で体が硬くなっているのが分かりました」。緊張はしたが河上敬也監督(53)の期待に応えようと思い切って投げ、この回3者凡退。9回は2四球に中前安打で1死満塁のピンチに、今度は7回に満塁弾を放った4番上林を中飛に打ち取った。

 前夜、河上監督からはこの試合、先発と言われたが「良く眠れました」と緊張はなかった。いざ、マウンドに立つと、いつもではない自分がいた。「情けなかった」と振り返ったが2回を投げ打者9人に31球、無失点。貴重な経験を手にした。「ここが基準、これより上に行かないと通用しない」と斎藤は今後への道筋をつかんだ。

 チームはこの大会で3試合、収穫と課題がはっきりと見えた。投手陣では大串が変化球を中心に2試合最少失点の完投勝利。連投で疲れもあったこの試合は2発を浴び、7失点したが、「ツーシーム、スクリューは全国でも通用することが分かりました」と大串。1年生斎藤も全国を経験、全国での連戦で起用できるメドが立ったのも大きい。守備の堅さは実証できた。内野連係のうまさは際立っていた。

 河上監督は「大串を中心に守りでは粘り強くなりました。ここから上の戦いには、個々の選手が厳しい状況を打開するために何をするか考える力が必要」と、来春のセンバツから夏の選手権と、甲子園で全国制覇を狙うためのポイントに挙げた。主将の吉田は「決勝に行く力がまだまだ足りないということを感じました。時間はあるので、自分たちでそれが何かを考えます」と、オフのさらなるチーム進化を誓った。【中尾猛】