3季連続優勝へ幸先の良い“開幕弾”だ。高校野球の対外試合が8日、解禁された。第85回記念選抜高校野球大会(22日開幕、甲子園)で史上初となる3季連続優勝を狙う大阪桐蔭は龍間グリーンフィールドで桜宮(大阪)と対戦。今秋ドラフトの目玉候補である森友哉捕手(2年)が特大の1発を放ち快勝した。センバツに出場する関東勢では浦和学院、花咲徳栄(ともに埼玉)、常総学院(茨城)、宇都宮商(栃木)がそれぞれ練習試合を行い、本大会へ闘志をみなぎらせた。組み合わせ抽選会は15日に大阪市内で行われる。

 大阪桐蔭・森友が世代NO・1の打力を、今季初戦で披露した。1回無死一、二塁で先制打を放つと、バットは止まらなくなった。5打数4安打4打点。2回1死二塁では右越えに高校通算24号弾をかけた。

 注目の初戦で2ラン、先制打、二塁打2本。期待に応えすぎる活躍に7球団8人のスカウトは騒然とした。森友を1位候補の1人に挙げる巨人の益田スカウトは「雰囲気がある。すごいというしかない」とため息。打球の消えた方向にダッシュをかけた人影があった。阪神畑山スカウトだ。2月末まで沖縄キャンプでドラフト1位藤浪をサポートし、この日は今年の恋人をマーク。今季1号球を拾い上げ「これも運命だな」と笑った。

 本人は冷静だった。「会心の当たり?

 全然です。センター方向に打とうと思ったのに、引っ張ってしまって」と不満をもらした。西谷浩一監督(43)も「これくらいやってくれないと話になりませんから」と、主将に高いハードルを課す。

 今年の投手陣は甲子園での活躍は未知数。1月3日に右足小指付け根を骨折した葛川知哉(2年)が投球練習を再開したのは明るい材料だが、西谷監督は「(センバツは)厳しいかもしれません。走れていないのが大きい」と楽観視はしていない。打線の援護は、史上初の甲子園3季連続制覇への絶対条件。葛川の骨折判明直後、いざという場合に備え投球練習も行うおとこ気を見せた主将でもある森友は「試合で誰かがミスしたら全員でカバー。全員で盛り上げて行く」。不屈の闘志で今年の甲子園も勝ちに行く。【堀まどか】