常葉学園菊川(静岡)が今季初勝利を挙げた。10日、菊川市の同校グラウンドで練習試合を2試合行い、1試合目で聖隷クリストファーを3-0で破った。5回に代打中田稿志外野手(1年)が、この日プロ5球団のスカウトが見守った聖隷エース鈴木翔太投手(2年)から先制の適時打。甲子園メンバーから外れている右打者が、逆転のベンチ入りへアピールした。加藤学園にも1-0で勝利した。

 中田が最大のチャンスをものにした。5回無死満塁の場面で、先発した8番渡辺尚輝投手(1年)の代打で右打席へ。マウンドにはプロ注目の鈴木翔。まだ本調子にはないものの、中田も「ボールの伸びがすごかった」と面食らった右腕だ。それでも、直球を左翼へはね返し先制。同じく代打出場だった前日9日の浜松工戦では三ゴロに終わっていただけに、2打席目での快打に「うれしかった」と、一塁上で手をたたいて喜んだ。

 その後、1番登地慶輔外野手(2年)の犠飛でこの回2得点。7回には7番金子尚史内野手(2年)が2盗塁で相手の悪送球を誘い3点目のホームを踏んだ。主力組として対外試合初勝利に貢献した中田だが、2月16日締め切りの甲子園メンバーには入っていない。それでも、森下知幸監督(51)から落選を告げられた翌17日に、シート打撃で本塁打を放つなど打力をアピールし続けてきた。今月15日の組み合わせ抽選会までにメンバー変更は可能。森下監督も右打者の必要性を感じており「中田はよくやっている」と評価した。適時打の後も四球と敵失で出塁と、背番号奪取の可能性を広げた。

 5番右翼でスタメンに抜てきされた加藤学園戦では4打数1安打。「プレッシャーで振るタイミングが速くなった」と、若さをのぞかせたものの「やるしかない」とアピール継続に燃えた。主軸は前日から結果を求めて力みが目立つ。失うもののない立場の中田が、強気のフルスイングでカンフル剤となる。【石原正二郎】