<センバツ高校野球:浦和学院4-0土佐>◇24日◇2回戦

 3季連続関東王者の浦和学院(埼玉)が、エース左腕・小島和哉投手(2年)の完封で関東勢初勝利を挙げた。6安打8奪三振の好投で、土佐(高知)に快勝。好投のポイントは、冬の間に覚えた新球スクリューだった。

 最大のピンチは完封目前の9回に待っていた。浦和学院・小島が左越え二塁打と四球で無死一、二塁のピンチを招いた。「疲れが出てボールが高めに浮いてしまった」。昨秋までなら崩れる場面で、軸になるボールがある。続く代打上野をカウント1ボール2ストライクと追い込み、外角に逃げながら落ちる121キロの決め球スクリューで空振り三振に切った。

 133球を投げ抜き、6安打8奪三振無失点。「右バッターにスクリュー系のボールを練習してきた成果が出ました」と言った。7、8回を含め、終盤の勝負どころで奪った3三振はすべてスクリュー。直球は130キロ台半ばだが、もともと右打者の内角を突くクロスファイアが持ち味。土佐に投球スタイルを分析されているのも折り込み済みで、「インコースはボール気味に投げた」。冬場に新たに覚えたスクリューで、相手を術中にはめた。

 土台となるのは、鍛え上げた下半身だ。174センチと上背はない。年明けには同校グラウンドに“砂浜”が誕生した。右翼後方の一周約100メートルに50センチの砂が敷かれ、不自由な場所で走り込んだ。ノックは腰にタイヤをつなぎ、両足には1キロずつの重りをつけた。投球練習は早投げで150球。10球を35秒前後で一気に投げて、10セットこなした。体重は2キロ増で75キロ。ずぶとくなった足腰が、決め球に切れを生んだ。

 「小さい頃から目標にしてきた」と言う舞台で、初完封を遂げた。球場入りの移動バス、車内では映画「ロッキー」のテーマを流して気持ちを高ぶらせた。心は熱く、マウンドでは冷静に。勝負どころで自在に決め球を操った。【前田祐輔】

 ◆小島和哉(おじま・かずや)1996年(平8)7月7日、愛知県生まれ。兄の影響で小学校2年から野球を始め、中学では行田シニアで全国大会に出場。浦和学院では1年夏からベンチ入りし、甲子園でも登板した。目標にする選手は巨人杉内。左投げ左打ち。