<練習試合:桐光学園7-3早実>◇9日◇八王子・早実グラウンド

 今秋のドラフト1位候補、桐光学園(神奈川)・松井裕樹投手(3年)が、今春のセンバツに出場した早実(東京)をねじ伏せた。第95回全国高校野球神奈川大会(7月7日開幕)の抽選会から一夜明けたこの日、東京都内で行われた早実との練習試合に救援登板した。1点リードの5回2死から4回1/3を投げて無安打無失点10奪三振。打っては高校通算8本目の本塁打を放った。

 松井の奪三振ラッシュが止まらなかった。5回2死二塁から登板し、いきなり三振。6回に1つ、7回2死走者なしで1つ、8回には振り逃げを含む4つ、9回に3つ。8連続三振で締めた。ワンバウンドのスライダーに早実打線のバットが止まらない。左腕は「調子は良くなかったんですけど、ストライク先行だったので三振が増えました」と笑顔で振り返った。

 打撃では先頭打者で迎えた9回に右翼へソロ本塁打を放った。カウント1ボールからの2球目を振り抜いた。緩い放物線の打球が93メートル先のフェンスを越え、スタンドから「入っちゃったよ!」と驚きの声が上がった。高校通算8本目の1発に「打ったのは直球。ライトオーバーくらいに思っていたんですけど、本塁打になってうれしいです」とはしゃいだ。

 来月7日開幕の神奈川大会に向けて、この日から塩の摂取を解禁した。小さいケースに入った豆粒大の塩の結晶を試合前になめる。汗で流れる塩分やミネラルを補給するため、1試合22奪三振の新記録をマークした昨夏の甲子園でも行ったルーティンだ。「夏に向けての体調管理で、今日から塩を持ち込みました。本番まであと4週。組み合わせも去年と同じように準決勝、決勝しか連戦がない。そこに合わせられるようにやっていきます」と、神奈川大会のラスト2戦までを見据えている。

 6日から強化合宿に突入し走り込みなどで追い込んでいる最中で「体が重かったですけど、勝ちにつなげられてよかった」。怪物の夏が徐々に熱を帯びてきた。【島根純】