<高校野球東東京大会:帝京12-0大山>◇14日◇3回戦◇神宮

 スクールカラーと同じ“黄色い声援”を受けた帝京の「いしかわりょう」が、バットで応えた。1回1死二塁、4番石川亮捕手(3年)は大会初戦の第1打席、初球を強振した。「甘いボールが来たら、振っていこうと思いました。うまくとらえることができた」と冷静に振り返った。スライダーを中越えに運ぶ適時二塁打。女子高生も集まった一塁側スタンドの期待に応える一打に、塁上で手をたたいて喜んだ。

 続く第2打席は、2ボールから直球をとらえる適時三塁打。全打席でファーストストライクを打ちにいき、2打点の活躍だ。180センチ、82キロの堂々の体格で、高校通算22本塁打。優勝した4月の春季東京大会までは10本塁打だったが、その後約2カ月半で一気に12本を積み上げた。

 帝京といえば、体作りのために昼食は食品保存容器に3合白米を詰め込む「3合飯」が伝統。だが、石川は逆にダイエットで体の切れを出した。食事は取りながら、ウエートトレーニングと走り込みで、昨秋89キロあった体重を絞り込んだ。「動きやすくなった」と、戦う体にビルドアップだ。

 名門帝京で1年夏から正捕手を務めたのは、石川が初めて。前田三夫監督(64)は「だいぶ良くなりましたね。ずっと出てましたから甘え、スキ、緩みがあった」と精神的な成長を感じている。この日は大リーグ・ブレーブス、DeNAなど4球団のスカウトが視察した。プロゴルファー石川遼と1字違いの名前の意識は「もうないですね」と言う。プロも注目する帝京の「亮くん」は、あくまで野球で主役を目指していく。【前田祐輔】