<高校野球静岡大会:聖隷クリストファー10-0沼津高専>◇15日◇1回戦◇掛川球場

 プロ注目右腕が復活した。聖隷クリストファー・鈴木翔太投手(3年)が沼津高専戦に先発。4回を2安打無四死球7奪三振で無失点に抑え、10-0の5回コールド勝ちへ導いた。右肘痛明けだった春の県大会からの復調を、バックネット裏で視察したプロ7球団のスカウト陣も再評価した。2回戦は20日に行われる。

 聖隷・鈴木翔が勝利への最短距離を駆け抜けた。打者14人の中で最も要した球数は6球。7奪三振のうち3球三振を2度奪うなど、直球主体で押した。4回を48球で投げ2安打無失点。4番打者としても2打数1安打3打点を挙げた。7番夏目和貴内野手(1年)に高校初本塁打も飛び出すなど打線も爆発し、1時間4分で試合を終わらせた。

 試合後、鈴木翔は「勝てて良かった」と淡々と振り返った。この日は6、7割の力で投げたという。理由は「飛龍が見に来ていると思うので」。21日の2回戦で戦う2季連続県大会3位の強豪を意識し、変化球もほとんど投げなかった。もっとも、その変化球は「感覚がいい」と自信を見せる。一方「今日は真っすぐが思ったほど伸びなかったし、制球も良くなかった」と、強力打線撃破への課題も忘れなかった。

 バックネット裏のスカウト陣は安心して見守った。春の鈴木翔は、右肘痛による出遅れが響き、県大会から登板して2回戦で敗れた。オリックス牧田スカウトは「春に比べたら去年の状態に近づいている」と評価。阪神北村スカウトは「1カ月前にも見たけど、雲泥の差で良くなった」と腕の振りの違いに言及した。さらに、他のスカウトも「次の飛龍戦が楽しみ」と口をそろえる復調ぶりだった。

 昨夏は、4回戦で優勝候補の静岡を2安打1失点に抑え一気に名を上げた。あれから1年。愛鷹球場での投球に期待が高まった。【石原正二郎】